東京市場を牽引したハイテク株、金融株、バフェット銘柄の商社株は頭打ち?

東京市場を牽引してきた外国人投資家にハイテク株への投資…今年の前半の動きから、年末にかけての株価の動きを占う

望月純夫2023/10/06

金融、商社、インバウンド関連銘柄をどう動いたか

金融セクターを見ると、三菱UFJは、4月28日の安値832.2円から上昇が始まり、この9月15日には高値1338.5円、上昇率60.8%、上昇幅506.3円となっている。
ここにきて足が軽くなっている銘柄には、ゆうちょ銀のような銘柄で、PBR0.49倍、利回り3.79倍など金融株については長期低迷していただけに、価格の調整は続くとみて良い。

エネルギー分野では、ほとんど相場がなかった東京電力は3月23日の安値440円が、9月15日には高値716.6円をつけ、上昇率62.8%、上昇幅276.6円と、日経平均の平均的上昇率を超えている。
また、原油価格の上昇をにらんでINPEXなども割安銘柄の分類に入るであろう。PBRは0.69倍、利回り3.26%だが増配含みである。

大幅上昇の局面で起きている現象はNT倍率に表れている。
4月後半にはNT倍率は14倍割れ、その後回復して6月16にはNT倍率は14.7倍となり、現在はまた14倍割れの水準まで調整してきている。これを調整終了のサインとみて良いのではないだろうか。

これに逆行する動きを見せているのが、東証グロース指数で5月26日には安値924.92Pをつけ、6月21日には1100.78Pを付けた。この間の上昇率は19%に過ぎない、上昇後は下落に転じ906.61Pと5月26日の安値を割り込む状況である。まだ底値を確認できる状況にはない。
個人投資家が好む小型株は、現在の市場では完全に無視をされている。

外国人投資家が好む銘柄の特徴は大型成長株であり、PBRの低い割安株である。それを先取りしたのがバフェットでPBRが低く、配当利回りの高い商社株であった。
21年6月の三菱商事は3000円程度でPBRは0.5倍程度、配当利回りは4%台、2023年9月日には高値7732円を付け、PBR1.25倍、利回り2.63%と割安感は見られなくなっている。
まだ同業種で割安は、住友商事のPBR0.96倍、配当利回り3.75%になる。伊藤忠はPBRは1.62倍、利回り2.81倍と割安感はなくなってきている。

コロナ脱却銘柄で先行したのは、共立メンテナンス、寿スピリット、日本空港ビル、高島屋等々である。
一方、コロナ前の株価の7割程度の戻りの銘柄群には、JR東日本、JR東海、ANA、JAL、Jフロント等がある。さらに戻りが50%の銘柄にはHIS、松屋、資生堂などがある。

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この記事を書いた人

望月純夫

望月純夫株式ストレジスト、コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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