マクロ経済の潮流から日々の暮らしに寄り添うお金の話まで――複眼的な視点で「生活」と「ファイナンス」を読み解く実践的チーム。メンバーは、生活者のリアルを綴るライター、現場感覚を持つファイナンシャルプランナー、そして個人に最も近い立場でライフリスクと向き合う生命保険・損害保険の営業パーソン。異なる立場と経験から、単なる数字や制度にとどまらない“生きた情報”を発信している。

「年間360万円」もう1つの天井
もう1つ見落とされやすいのが、枠復活には「年間360万円」という別の天井もあるということ。生涯枠がいくら復活しても、1年間に買える額は年間枠(つみたて120万円+成長240万円=360万円)を超えられない。
たとえば、元本300万円分を売却すれば、翌年に生涯枠が300万円分復活し、また300万円分を買い直せる……ということまではお分かりだと思う。ところが、つみたて投資枠で毎月10万円(年間120万円)の積立を続けている人は、その120万円が、その年の年間360万円の枠から先に差し引かれる。すなわち、その年の非課税枠は240万円になる。
つまり、生涯枠に300万円の空きが戻っていても、その年に買い直せるのは240万円までになる。残り60万円分を非課税枠にいれるのは翌々年になってしまうというわけ。
「生涯枠が復活したこと」と「その年に360万円まで買えること」にはならないので注意が必要だ。また、積立はこの年間枠を先に埋めてしまうので、その分だけ“まとめ買いの余地”が削られる。実は、復活を当てにした機動的な売買は、思ったほど自由が利かないのだ。
上限だから、売らなければならないわけではない
誤解のないように付け加えると、生涯枠1800万円に達しても「売らなければならない」わけではない。新NISAの非課税期間は無期限なので、上限まで買った資産は、そのままずっと非課税で持ち続けられる。売って枠を空けるのは、あくまで「新しく別のものを買いたいとき」の選択でしかない。
冒頭でも話をしたが、新NISAは始まってまだ3年目。2024年・2025年・2026年と毎年満額(360万円)を投資してきた人でも、元本はおよそ1080万円どまり。1800万円の上限に届いた人は、まだ誰もいない。
なので、もう枠がなくても、売って復活を待たなくても、年が明ければ360万円の新しい枠が追加されるので、それを使えば新規に買うことが可能になる。
とはいえ、2028年には生涯上限枠の1800万円になるので、そのとき慌てないために、どこまでが非課税になるのか、また運用方法についてきちんと理解し、非課税という恩恵をフル活用していってほしい。
*本記事は制度の一般的な解説であり、投資判断はご自身の責任でお願いします。生涯非課税限度額・年間投資枠・枠復活などの最新ルールは、金融庁のNISA特設サイト等で必ずご確認ください。






