最新、地震保険のしくみ

いつ起こるかわからない地震。その万が一のときに頼りになるのが地震保険だ。2011年の東日本大地震以降、日本各地では震度6以上の地震が13回起きており、大きな被害も出ている。頻発する地震を受けて地震保険の見直しも行われている。そんな地震保険の最新内容をわかりやすく解説。

平野敦之2023/11/07

意外と知られていない地震保険のポイント

地震保険の細かい仕組みは意外と知られていないので、いくつかポイントになる点を確認しておきましょう。

地震保険には総支払限度額が設けられており、これを超えた場合には個々の契約ごとに支払われる保険金は所定の算式により削減されることがあります。2023年4月1日現在でこの金額は12兆円で関東大震災クラスの地震と同等規模の大地震が発生した場合でも、対応可能な範囲として決定されています。

大きな地震が発生した場合、続けて余震等が何度も発生することがあります。この場合、はじめの地震発生日から3日(72時間)以内は、何度地震が起きても1回の地震とみなします。 3日(72時間)経過後であれば、別の地震として取り扱われます。

地震保険の加入率は全国平均で35%、火災保険につける付帯率は全国平均で69.4%(ともに2022年度)となっています。

地震保険の保険金支払い基準と注意点

地震保険は実際の損害をカバーする保険ではないため、所定の4区分で合致した基準に基づいて支払われます。具体的には次の表のようになります。

地震保険は火災保険の保険金額の30~50%で設定します。火災保険に3000万円加入していれば、建物の地震保険は900~1500万円です。その他にも次の注意点があります。

・建物は主要構造部(基礎・柱・外壁・屋根など)の損害の補償をする為、窓ガラス・門・塀・垣などのみの損害は補償されない。
・地震等が発生した日の翌日から10日経過後に生じた損害は対象外。
・⼀部損に至らない損害では保険金は支払われない。

地震保険加入は必要か?

地震保険の補償は、火災保険の半分までが限度です。その一方、地域や構造で違いはありますが、地震保険料は決して安くはありません。地震保険の必要性のポイントは次の3つです。

・住宅ローンの残債が多い
・資産が多くない
・被災後収入が減少する可能性が高い

住宅ローンを利用したばかりだと、残債は多いですし、頭金の支払い等で資産が減っているケースが一般的でしょう。自営業なら被災後に収入も減る可能性も高くなります。これらに該当する人は地震保険の必要性が高くなると考えてください。

1 2

この記事を書いた人

平野敦之

平野敦之平野FP事務所 代表

CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。

  • WEB

※このサイトは「事業再構築補助金」を活用しています