「花粉症の症状別」漢方薬活用ガイド 漢方薬の選び方と対策方法

環境省の『花粉症環境保健 マニュアル』によると、日本人の花粉症の有病率は、2019年時点で約42.5%と日本人の2人1人が花粉症だという。そんな花粉症の症状別、漢方薬の活用を徹底ガイド。

斉藤明美2025/03/10

眼の痒みや、くしゃみ・鼻水の症状はどうすえば緩和できるか

無色から白色で少し粘り気のある鼻汁の「熱証タイプ」

熱証タイプは、鼻炎が長引くと鼻に余分な熱が発生し炎症を引き起こすため、粘り気のある濃い鼻水となります。強い鼻炎症状のため熱により水分が失われるので乾燥して鼻つまりが起こります。鼻汁は無色から白色に、更に黄色~緑色に変わることもあります。
肺を潤わせ熱を冷ましながら炎症をおさえ、排膿効果のある生薬を含む漢方薬を用いて鼻つまりなどを改善します。

*葛根湯加川芎辛夷 (カッコントウカセンキュウシンイ)
【体質と主な症状】やや体力のある方/鼻水、鼻つまり、肩こり・首こり、頭痛・頭重

【特徴】無色から白色で少し粘り気のある鼻汁、鼻つまりが強い、入浴などで温まると鼻つまりが軽減される、くしゃみ、鼻水が治っても鼻つまりだけ残る。
首や肩のこり、発熱、頭痛・頭重を伴うこともあります。

【成分の効能】熱証タイプには、身体を温める葛根湯をベースにした処方で川芎(センキュウ)と辛夷(シンイ)が鼻腔や副鼻腔の炎症を抑え、排膿を促すことで鼻つまりを開通させます。

*辛夷清肺湯 (シンイセイハイトウ)
【体質と主な症状】やや体力のある方/鼻汁の粘性が高く、とにかく鼻閉がひどく、匂いがわからないことも。

【特徴】肺に熱がこもることで起こる頑固な鼻詰まり、匂いがわからない、鼻の乾燥した感じ、頭痛や鼻の痛み、黄色~緑色の粘り気のある鼻水。

【成分の効能】黄芩(オウゴン)、知母(チモ)、石膏(セッコウ)で肺の熱をさまし、麦門冬(バクモンドウ)や百合(ビャクゴウ)で肺を潤し、さらに辛夷が鼻詰まりを治すことで症状を改善します。

寒気や全身倦怠感を伴う透明な鼻水の「陰証タイプ」

陰証タイプは、体力が著しく消耗している人や高齢者は常にエネルギーが不足している(漢方では陰証といいます)ので、寒さなどの邪に対する防衛力がないため、冷えなどを感じると鼻水などの表証(体表にあらわれる症状)だけでなく、裏証(臓腑や血管、骨髄など体の内部で起こる症状)による手足の強い冷えや倦怠感などが同時にあらわれます。
寒気や全身倦怠感を伴う透明な鼻水が特徴で薄い痰を伴うこともあります。
陰証タイプに対しては、からだを温めながら、寒気を感じる体表にエネルギーを生みだす効果の漢方薬を用います。

*麻黄附子細辛湯 (マオウセツサイシントウ)
【体質と主な症状】やや体力のない方/鼻炎症状だけでなく、強い寒気がある、元気がない、倦怠感が強いなど新陳代謝が落ちている人や高齢者に。

【特徴】鼻水のほかに微熱や咳、眠気を伴うこともあります。
四肢に冷えがある風邪や寒冷じんましん、冷えによる関節痛・神経痛にも用います。

【成分の効能】附子(ブシ)と細辛でからだの表面や深部も温めることで衰えたエネルギーを回復させ、麻黄で少し発汗させて寒気、くしゃみ、鼻水に効果を現します。

【花粉症対策 ワンポイントアドバイス】

1)花粉症の予防と早い時期からの対策
薄着や冷飲食物・水分の摂りすぎは、からだの代謝を低下させ鼻水や鼻つまりの原因を招きます。からだを冷やさない衣服や湯船につかる入浴などでからだを温める工夫を意識しましょう。少し早めに薬の服用を開始することで症状がひどくならずに済むこともあります。

2)ストレスを溜めない心がけ
慢性的なストレスや体力の低下、睡眠不足は、免疫力低下の原因となり症状が出やすくなります。夜は早めの就寝や日頃のストレス発散など、でリラックスタイムを上手に作ることがポイントです。

3)バランスの摂れた食生活
コンビ二やファストフードはできるだけ少なくして、旬の食材を取り入れた食生活で免疫力をあげて症状が起こらないからだつくりを目指します。

次回は「めまい」についての漢方薬を紹介します。

斉藤明美『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』

1 2

この記事を書いた人

斉藤明美

斉藤明美薬剤師・医学博士

北里大学薬学部卒業後、大学病院、企業診療所、透析施設で薬剤師として勤務。その後、製薬会社で企画販売に従事し、体調を崩した時に漢方薬に出会い、漢方を学びはじめる。日本漢方協会漢方講座を経て、田畑隆一郎先生の無門塾入門、愛全診療所 蓮村幸兌先生(漢方専門医)の漢方外来にて研修。現在は「より健やかに、更に美しく」を目指して患者さんの漢方相談、わかりやすい漢方の啓蒙活動に取り組んでいる。著書に『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』(ごきげんビジネス出版)がある。

  • Facebook

※このサイトは「事業再構築補助金」を活用しています