【倒産急増 木造建築業界】資材高騰、人手不足…三重四重苦の現実

厳しい状況が続く建築・土木業界。そのなかでもひときわ厳しい環境に置かれているのが木造建築業だ。その背景と対策を考える

立川昭吾2024/07/29

インボイス制度が始まったが…

インボイスで、腕のよい職人がいなくなる

私のところにも、こうした建築会社やリフォーム会社からの相談が多くあります。
こうした会社の帳簿を見ると、小売りもそうですが、木造建築業も借金体質から抜けられず、資金調達で保証協会付や政策金融公庫が使えない状態になっています。そのため資金調達先はほとんどノンバンクです。このため高い金利がさらに利益を圧縮させてしまっています。

この背景にあるのは、下請けや職人を使わなければ仕事になりませんから、この支払に追われ、どうしてもノンバンクに頼らざるを得ない。
さらにクビを閉めているのが23年10月から導入されたインボイスです。ひとり親方で仕事をしているような会社では、これが大きな負担になっています。
日本も欧米と同様にしようということで、インボイスが導入されたわけですが、欧米は最初から導入されていて、日本とはまったく違った環境です。ただこれを欧米に合わせようとしても無理があります。個人的にはインボイスは税制の完全な悪手だと思います。

東京商工リサーチによれば、2023年秋の段階で727件が破綻しており、2024年はさらに増えていくことが予想されます。
そもそも木造建築業界は、20億から30億の売上の会社も2億から3億の売上の会社も経営体質が同じところが多い。つまり、近代化されていない会社が多いのです。そこに近代化した武器を手にローコストで大量生産している格安ハウスメーカー入ってきたとで、業界全体が大きなうねりの中にあります。
ですから、このままにしておくと老舗の会社や腕のいい大工さんがいなくなってしまう。
家を作るのは人ですか、こうした企業にも頑張っていてほしいと思います。
それにはやはり体質改善が求められています。

立川昭吾の企業再生チャンネル「【緊急提言】倒産急増。木造建築業界の危機!」より

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この記事を書いた人

立川昭吾

立川昭吾

1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。

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