【倒産急増 木造建築業界】資材高騰、人手不足…三重四重苦の現実

厳しい状況が続く建築・土木業界。そのなかでもひときわ厳しい環境に置かれているのが木造建築業だ。その背景と対策を考える

立川昭吾2024/07/29

親方の勘ではIT化、DX化にかなわない

厳しい環境にある木造建築業界

さらに、ITやDX化が進み、会全体に入ってきていますが、木造建築業の大手はまだしも、中小はIT、DXの導入や活用も遅れていています。
今も大半が製図や見積もり、建築積算なども親方の感 でやっているところが多い。資金繰りも同様で、親方のどんぶり勘定と銀行頼みになっているというのが実態です。

しかも、こうしたやり方なので、納期の遅れ起こりがちなため、代金支払いのトラブルにもつながり、結果、見積もり通りの支払いが行われないということも往々にして起こっています。これはリフォーム業界も同様で、人手不足も相まって、三重苦四重苦なっています。

そこで自ら個別の顧客から直接受注することが難しくなってきたことから大手住宅販売の下請けを受注するのですが、これでは圧倒的に利益がなく、資金繰りのため仕事をするようなってしまっています。

建築や不動産といった住宅を扱う事業は、クレーム業種ともいわれるように、顧客を100%満足させることがすごく難しい業態です。儲からないうえにトラブルが起きており、帝国データバンクの調べによると2022年のこうしたトラブルの発生件数は倍以上になっているといいます。

また、家の売り方も大きく変化しています。
従来、戸建て住宅は住宅展示場などのモデルハウスでの販売が中心でした。しかし、コロナによって、展示場に人が来られなくなってしまった。そのためインスタグラムとかSNS、動画、バーチャル展示場など、これまでの家の売り方がまったく違う方法になってしまいました。

もはや住宅業界もこのIT化は避けて通れません。この流れに乗り遅れてしまった企業はどんどんと縮小されてしまいます。ですから、非常に難しいビジネスになってきました。

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立川昭吾

立川昭吾

1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。

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