マクロ経済の潮流から日々の暮らしに寄り添うお金の話まで――複眼的な視点で「生活」と「ファイナンス」を読み解く実践的チーム。メンバーは、生活者のリアルを綴るライター、現場感覚を持つファイナンシャルプランナー、そして個人に最も近い立場でライフリスクと向き合う生命保険・損害保険の営業パーソン。異なる立場と経験から、数字や制度にとどまらない“生きた情報”を発信している。
アンケートから見えてきたひとり暮らしの実態
「おひとりさま」というと「ぼっち」や「陰キャ」などネガティブなイメージが付きまとう。しかし、このイメージは大きく変化してきている。昨今、自ら「ひとり」を選択し、ひとりを好み、ひとり時間を重視する人が増えている。
その理由として、ひとりでいることによって、ストレス解消ができ、自分の好きなことに没頭できる時間として、ひとりを選ぶというのだ。実際、今では消費行動でも「ソロ外食」や「ソロ旅行」が一般化している。
また、ひとり暮らしの「単身世帯」は年齢や世代に関係なく増加しており、5年に1度の調査を行っている国立社会保障・人口問題研究所が発表した2024年度のひとり暮らし世帯数は約1714万世帯で、総世帯数の30.8%と少数派ではなくなっており、さらに増えると予想されている。
大手不動産賃貸会社のエイブルでは、国内在住の男女15~49歳までのひとり暮らし、カップル・同棲、ファミリーという3つの世帯形態に分類。現代人のひとり時間の過ごし方や、それぞれの「ひとり時間」に対する意識などについてアンケートを実施し、ひとり暮らしのイメージや、実際に暮らす人々の感想をまとめた。
「ひとり時間は好きか」という質問に対しては、全世帯形態を合わせて「好き」と答えた人は39.4%。「どちらかと言えば好き」を合わせると、ひとり暮らしで86.0%、同棲・カップルで75.7%、ファミリーでは74.5%と肯定的な答えが多数をしめた。

それぞれの生活形態別での「平日ひとりで過ごす平均時間」は、ひとり暮らし=6.37時間、カップル・同棲=3.95時間、ファミリー=3.54時間。休日のひとりで過ごす時間は、ひとり暮らし=7.57時間、カップル・同棲=3.68時間、ファミリー=3.84時間と、ひとり暮らしの人は複数で暮らす人の約2倍の時間をひとりで過ごしていることがわかった。
これを見ると、ひとり暮らしとはいえ、ひとり時間は他の生活タイプの人と比べ倍程度で、カップル・同棲やファミリーで暮らす人も、ひとり時間をしっかりとっていることがわかる。