副業・復業が注目されるこれだけの理由
「今の収入に満足していますか?」
こんな問いに、多くのビジネスパーソンは「不満」と答える人が多いだろう。
実際、株式会社ウェルビーイングス(東京都港区)が行った意識調査によると、およそ8割の人が「満足していない」と回答している。

実際、物価の上昇は生活を直撃、その影響についても、およそ8割の人が「とても大きい」「大きい」と答えている。
2025年春闘の第4回回答集計結果(4月17日公表)では、平均賃上げ率は4.97%、金額では1万3283円と公表された。ここ数年賃金アップはしているものの、もはやこれだけでは足りないのが現実のようだ。

現代日本において「収入の不安」は、物価上昇や将来不安、教育費や住宅ローン、介護などライフステージごとの課題へとつながり、その解消のために誰もが収入の“増やし方”を模索している。その選択肢として、注目されているのが「副業」や「複業」だ。
収入アップだけでない副業・復業の目的
調査結果では、副業・複業に対する関心が高い一方で、収入アップのほかに「スキルアップ」や「キャリアアップ」への意識の高さがうかがわせる。とくに注目されるのは収入を増やすという「目的」だけではなく、その「プロセス」も重要視さている点で、スキルを身につけ、自分の可能性を広げたいという前向きな姿勢の人も多い。そのため「副業・複業をする上で、知識習得やスキルアップが必要だと感じる」という答えが約83%にのぼっている。


副業・複業が注目される背景には、単なる収入を増やすということだけでなく、「自分らしい働き方」を模索する意識の変化がある。1つの会社ではたらく「一社専従」「終身雇用」のキャリアモデルはもはや標準ではなったといわれて久しい。そして、現実にも複数の仕事を通じて自分の可能性を広げ、人生の選択肢を増やしたいと考えている人が多く、それが自己実現のひとつの形となっているということだろう。
副業自由化がもたらす企業へのメリット
退職代行会社が繁盛し、人材の流出で悩む企業が多いが、これを防ぐ妙案は見つかっていない。しかし、ものは考えようで、企業にとっては副業・複業を自由にして、むしろ推奨することで、社員の収入をアップさせることできる。さらに副業・複業によって社外での経験によって、社員にスキルアップしてもらい、それを生かしてキャリア形成の1つとしてもらえば、企業側にも大きなメリットになるはずだ。
実際、同社の別調査では、副業先で得た経験の本業の現部署で活かしたいという人も多数いる。
もちろん、すべての人がすぐに副業を始められるわけではない。現実には時間的な制約やスキル習得の壁、いまなおある企業側の理解不足といった課題がある。ただ、その障壁を少しずつ乗り越えていく人が確実に増えているのが現実なのだ。企業側もこれを前向きに受け止め、サポートすることで、退職者を減らすことができれば働く人、企業ともにウィンウィンの関係をつくることができるだろう。
会社にしがみつく、企業内で囲い込むだけでなく、もっと自由な働き方への転換が人材を成長させ、引いてはそれが企業の発展につながるはずだ。