【破綻 介護事業】超高齢時代に過去最多600件あまりが事業撤退

超高齢社会の日本。そんななかにあって介護施設の破綻が増えているという。その背景に潜むものとは何だったのか。

立川昭吾2024/08/19

そこにコロナの感染予防に関わる諸経費が経営を圧迫。そもそも累積赤字を抱えている事業者も多くあったため、コロナ禍から明けにかけて、一気に倒産が増えてきました。

大変な「介護」だけを押しつけられて

入居型の介護事業の老人ホーム(居宅介護)は、サービス業に思えますが、その実態は装置産業なのです。
まず、施設を作る段階での初期投資の負担が大きく、そういう意味では旅館とかホテルと 同様で、借金をしてのスタートになります。最初から負債を抱えているので、経営が非常に難しい。

その点、デイサービス(通所介護)は最初の資本が少ないため、儲かっていたのですが、コロナによって訪問介護ができなくなってしまい、売上が大幅にダウンしてしまいました。売上が下がれば、人件費負担ができず辞めてしまう人も多くなってしまいました。そして、コロナ明けに事業が再開した際には、人手不足が顕著になってしまいました。

また、介護まで必要のない要支援の人を対象にした介護予防サービスというのがあります。この介護予防サービスは、介護事業会社にとって利益率の高いものだったのですが、今は公的なものに移ってしまって、利益が薄く、負担の重い要介護だけが民間に移動してしまったというようなことが相まって、介護事業は厳しい状況におかれています。

IT化とDX化が再生の切り札

さて、こうした厳しい状況にある介護事業ですが、この状況をどう乗り切ればよいか。事業再生の立場から倒産を防ぎ、事業再生を進めたらよいかについてお話していきたいと思います。

1 2 3 4 5

この記事を書いた人

立川昭吾

立川昭吾

1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。

  • WEB

※このサイトは「事業再構築補助金」を活用しています