この記事でわかること
・中古マンションの成約件数が2割近く減った
・在庫が2か月連続で増え、売り出しと成約の差は585万円に
・大阪・神戸・京都の3市とも成約が2ケタ減った
・戸建ては成約・価格ともに前年を下回った
・土地は在庫が45か月連続で増えた
・成約が細るなか、売り出し価格が上がり続ける意味
中古マンション:成約件数は2割近く減り、㎡単価は2か月連続で下落
近畿レインズ(公益社団法人近畿圏不動産流通機構)が10月9日に公表した「マンスリーレポート2026年9月度」によると、近畿圏の中古マンション成約件数は1450件で前年同月比マイナス19.1%と8か月連続の減少となった。減少率は8月のマイナス7.2%から大きく広がっている。
前年の9月は成約件数が前年同月比19.6%増と伸びた月で、2割近い減少率にはその反動も含まれている。近畿レインズは、2025年1月以降のシステム改修が成約件数に影響している可能性があると注記している。
成約㎡単価は46.24万円/㎡で前年同月比マイナス4.8%と2か月連続の下落。前月比ではプラス2.0%と、8月の45.33万円/㎡から持ち直した。成約価格は3122万円で前年同月比マイナス6.1%と、こちらも2か月連続で下落している。前月比はプラス1.1%だった。
新規登録件数は6515件(同プラス9.8%)と3か月連続で増加した。
在庫は2か月連続で増加、売り出しと成約の差は585万円
先月は、ほぼ横ばいながら在庫件数が6か月ぶりに増えた。9月はその増加がはっきりした。
在庫件数は2万2065件で前年同月比プラス3.3%と2か月連続の増加。増加率は8月のプラス0.5%から広がった。
売り出し側の価格も上がり続けている。新規登録㎡単価は58.27万円/㎡(同プラス13.9%)と2024年6月から28か月連続、在庫㎡単価は58.14万円/㎡(同プラス20.8%)と2024年9月から25か月連続で上昇した。在庫価格は3707万円(同プラス21.1%)と2024年7月から27か月連続の上昇である。
| 区分 | 件数 | 前年同月比 | ㎡単価 | 前年同月比 | 価格 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 成約 | 1,450件 | -19.1% | 46.24万円/㎡ | -4.8% | 3,122万円 | -6.1% |
| 新規登録 | 6,515件 | +9.8% | 58.27万円/㎡ | +13.9% | 3,749万円 | +14.1% |
| 在庫 | 22,065件 | +3.3% | 58.14万円/㎡ | +20.8% | 3,707万円 | +21.1% |
※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年9月度」より作成
成約㎡単価46.24万円/㎡に対し、在庫㎡単価は58.14万円/㎡。その差は11.90万円/㎡ある。価格でみると在庫3707万円と成約3122万円の差は585万円で、8月の569万円から16万円広がった。
在庫2万2065件を成約1450件で割ると15.2か月分になる。8月の15.7か月分から縮んだのは成約件数が前月より76件増えたためで、在庫そのものは8月の2万1596件から469件増えている。
エリア別:大阪市・神戸市・京都市とも成約2ケタ減
エリア別の成約件数は、対象12地域のうち10地域が前年を下回った。減少エリアの数は8月と同じだが、そのうち8地域が2ケタ減となっている。
近畿圏で最も取引の多い大阪市は383件(同マイナス26.8%)で8か月連続の減少。京都市も131件(同マイナス18.1%)で8か月連続、大阪府北部は160件(同マイナス17.9%)で6か月連続の減少となった。神戸市218件(同マイナス17.1%)、阪神間170件(同マイナス19.0%)、兵庫県他50件(同マイナス30.6%)、奈良県45件(同マイナス27.4%)、滋賀県46件(同マイナス25.8%)も2ケタ減である。増えたのは京都府他の29件(同プラス16.0%)と和歌山県の14件(前年同月は7件)だけだった。
成約㎡単価は12地域中6地域が下落し、下落エリアは8月から1地域減った。
大阪府南部は25.08万円/㎡(同マイナス18.2%)と3か月連続で下落し、京都市55.74万円/㎡(同マイナス14.4%)と兵庫県他20.97万円/㎡(同マイナス10.1%)も2ケタ下落となった。神戸市は37.80万円/㎡(同マイナス4.5%)、大阪府北部は43.03万円/㎡(同マイナス2.7%)と、どちらも2か月連続で前年を下回っている。
上昇したほうでは、大阪市が73.47万円/㎡(同プラス1.3%)と上昇に転じた。大阪府東部は33.03万円/㎡(同プラス3.5%)で10か月連続、阪神間は42.64万円/㎡(同プラス2.5%)で6か月連続の上昇である。
| エリア | 成約件数 | 前年同月比 | ㎡単価 | 前年同月比 | 価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大阪市 | 383件 | -26.8% | 73.47万円/㎡ | +1.3% | 4,385万円 |
| 大阪府北部 | 160件 | -17.9% | 43.03万円/㎡ | -2.7% | 3,160万円 |
| 大阪府東部 | 105件 | -6.3% | 33.03万円/㎡ | +3.5% | 2,280万円 |
| 大阪府南部 | 99件 | -2.9% | 25.08万円/㎡ | -18.2% | 1,803万円 |
| 神戸市 | 218件 | -17.1% | 37.80万円/㎡ | -4.5% | 2,639万円 |
| 京都市 | 131件 | -18.1% | 55.74万円/㎡ | -14.4% | 3,418万円 |
※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年9月度」より作成
大阪・神戸・京都の3市は、成約件数がそろって2ケタ減となった。単価は大阪市が前年を上回った一方、神戸市と京都市は下落が続き、3市で向きが分かれている。
中古戸建住宅:成約は3か月ぶりに減少、価格も2か月ぶりに下落
中古戸建住宅の成約件数は1095件で前年同月比マイナス14.7%と3か月ぶりに減少した。2か月続いた増加が止まり、マンションと同じく前年を下回っている。
新規登録件数は4694件(同プラス1.0%)と7か月連続で増加、在庫件数は2万747件(同プラス6.4%)で2022年7月から51か月連続の増加となった。
成約価格は2327万円で前年同月比マイナス5.2%と2か月ぶりに下落し、前月比も2.8%下げた。一方、新規登録価格は2903万円(同プラス3.8%)と2か月ぶりに上昇し、前月比では5.3%上がった。在庫価格は2746万円(同プラス2.3%)と2025年4月から18か月連続の上昇である。
土地面積は135.95㎡(同マイナス1.4%)、建物面積は107.74㎡(同マイナス2.7%)と、そろって2か月ぶりに縮小した。
| 区分 | 件数 | 前年同月比 | 価格 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|---|
| 成約 | 1,095件 | -14.7% | 2,327万円 | -5.2% |
| 新規登録 | 4,694件 | +1.0% | 2,903万円 | +3.8% |
| 在庫 | 20,747件 | +6.4% | 2,746万円 | +2.3% |
※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年9月度」より作成
エリア別の成約件数は12地域中9地域が減少し、減少エリアは8月から5地域増えた。奈良県98件(同マイナス7.5%)を除く8地域が2ケタ減で、京都市75件(同マイナス34.2%)、大阪市83件(同マイナス25.9%)、大阪府南部134件(同マイナス23.0%)、神戸市73件(同マイナス21.5%)などが大きく減っている。京都府他は64件(同マイナス22.9%)で3か月連続、阪神間は117件(同マイナス12.7%)で7か月ぶりの減少となった。増えたのは兵庫県他の123件(同プラス13.9%)が6か月連続、滋賀県の89件(同プラス2.3%)、大阪府東部の128件(同プラス0.8%)である。
成約価格は12地域中7地域が下落した。奈良県1604万円(同マイナス15.4%)と大阪府北部3438万円(同マイナス12.3%)は2ケタ下落で、大阪府北部は4か月連続、大阪府東部2095万円(同マイナス5.1%)は3か月連続で下げている。大阪市は3626万円(同マイナス3.7%)だった。上昇したのは京都市3297万円(同プラス8.9%)、京都府他2241万円(同プラス8.2%)などで、京都府他は4か月連続の上昇である。
| エリア | 成約件数 | 前年同月比 | 価格 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|---|
| 大阪市 | 83件 | -25.9% | 3,626万円 | -3.7% |
| 大阪府北部 | 76件 | -15.6% | 3,438万円 | -12.3% |
| 大阪府南部 | 134件 | -23.0% | 1,766万円 | -8.1% |
| 神戸市 | 73件 | -21.5% | 2,674万円 | +1.3% |
| 阪神間 | 117件 | -12.7% | 2,956万円 | -9.5% |
| 京都市 | 75件 | -34.2% | 3,297万円 | +8.9% |
※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年9月度」より作成
土地:成約件数は5か月連続減、在庫は45か月連続で増加
土地の成約件数は707件で前年同月比マイナス9.1%と5か月連続の減少。新規登録件数は3439件(同プラス4.7%)と4か月連続で増加し、在庫件数は1万8305件(同プラス7.2%)で2023年1月から45か月連続の増加となっている。
成約㎡単価は17.57万円/㎡(同プラス12.8%)と2か月ぶりに上昇し、前月比も14.1%上げた。成約価格は2835万円(同プラス15.6%)で2か月ぶりの上昇、前月比は15.5%上がっている。在庫㎡単価は13.74万円/㎡(同プラス7.3%)と2025年2月から20か月連続で上昇した。
| 区分 | 件数 | 前年同月比 | ㎡単価 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|---|
| 成約 | 707件 | -9.1% | 17.57万円/㎡ | +12.8% |
| 新規登録 | 3,439件 | +4.7% | 18.66万円/㎡ | +12.1% |
| 在庫 | 18,305件 | +7.2% | 13.74万円/㎡ | +7.3% |
※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年9月度」より作成
エリア別の成約件数は12地域中7地域が減少し、大阪府南部75件(同マイナス37.0%)、滋賀県45件(同マイナス30.8%)、兵庫県他76件(同マイナス19.1%)、神戸市39件(同マイナス15.2%)、大阪市45件(同マイナス15.1%)、奈良県53件(同マイナス11.7%)が2ケタ減となった。大阪府南部は7か月連続、奈良県は4か月連続で減少している。
成約㎡単価は12地域中8地域が上昇し、大阪市66.09万円/㎡(同プラス34.7%)、神戸市20.37万円/㎡(同プラス33.8%)、阪神間21.39万円/㎡(同プラス17.4%)、奈良県9.16万円/㎡(同プラス14.4%)が2ケタ上昇となった。大阪市の成約は45件と少なく、1か月の単価は個別の取引に左右されやすい。
成約が細るなか、売り出し価格だけが上がり続ける
9月の近畿圏で最も重いのは、中古マンションの成約件数が8か月連続で減り、減少率が2割近くまで広がったことだろう。
前年9月の反動を含むとはいえ、減り方は地域を問わない。大阪市・神戸市・京都市の3市はそろって2ケタ減となり、12地域中8地域が2ケタの減少だった。戸建ても3か月ぶりに減少へ転じ、成約価格は2か月ぶりに下がっている。
その一方で、在庫は2か月続けて増え、売り出し価格は上がり続けている。在庫㎡単価は25か月連続、在庫価格は27か月連続の上昇だ。成約㎡単価は前月比では2.0%持ち直したものの、前年同月比では2か月続けて下がっている。売り出しと成約の差は585万円と、8月からさらに16万円広がった。
首都圏では同じ差が1860万円に開き、在庫は5万件を超えた。近畿圏の585万円はその3分の1にも満たないが、成約が減って在庫が増え、売り出し価格だけが上がるという向きは同じである。8月に首都圏と同じ向きに揃いはじめた近畿圏の数字は、9月もその流れの上にあるといえるだろう。
戸建てと土地の在庫は、それぞれ51か月、45か月と4年前後にわたって増え続けている。8月まで増えていた戸建ての成約も、9月は前年を下回った。
買う側から見れば、成約単価が2か月続けて前年を下回り、在庫も増えはじめた。売り出し価格との差が585万円ある以上、値引き交渉を持ちかける材料は8月より増えているといえるだろう。10月以降、在庫の増加が首都圏のような積み上がりに向かうのか――近畿圏の中古マンションは、その分かれ目にある。







