元朝日新聞経済記者、英字新聞「ヘラルド・トリビューン朝日」記者。不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』(東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
とはいえ、カルティエは銀座だけでも、並木通りや中央通りなどにも店舗があり、銀座シックスや銀座松屋といった百貨店にも入っている。こうした店舗の売上は、訪日客に頼る部分があるため、為替動向が円高に振れると、各店の売り上げに響く可能性も考えられる。
「バレンシアガ」誘致でほっと一息の東急プラザ銀座
そんな銀座数寄屋橋ビルの近くにあるのが16年に竣工した東急不動産の「東急プラザ銀座」だ。オープンにあたっては銀座シックスの向こうを張って、高級ブランドを集めた。
そこでオープン時のビルの顔ともいえる一等地の交差点角地にはバリーが入ったが、家賃が高いとして東急側と家賃などについて長期にわたって交渉を続けていたものの、最後は出ていったしまった。ちなみに、バリーは銀座シックスからも撤退している。
その後、一時期は1階のこの部分は、事実上の空き店舗となっていた。現在は、スペインバスク地方発祥のブランドの「バレンシアガ」(スペインバスク地方が本拠だが、グッチグループに所属した後、仏のケリンググループ傘下)が入っている。とはいえ、バレンシアガは24年4月に銀座中央通り沿いの銀座7丁目に銀座の旗艦店オープンさせており、東急だけに頼っているわけではない。
一方、LVの人気は相変わらずで、百貨店から新聞社まで誘致の声はひっきりなし。並木通りにある北海道新聞社のビルを驚くべきアート風に丸ごと新築させて入居している。いまなお、銀座ブランドは強いのかハイブランドの多店舗展開が進んでいる。