お金と資産、ビジネスで
ちょっとウエを目指す情報サイト/Gold beans.

三菱UFJら83社が決算発表、日銀が据え置いた翌営業日に銀行11社|決算ウォッチ

日銀は7月31日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%程度に据え置いた。据え置きは想定どおりだが、同時に出た展望レポートは物価について「上振れリスクの方が大きい」としている。その翌営業日にあたる本日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)を筆頭に銀行11社の1Qの決算発表が出る。また、日産自動車(7201)は前日5.30%安からの発表だ。要注意D級には三井E&S(7003)を注目銘柄としてウォッチしたい。

コマンドY2026/08/03

三菱UFJら83社が決算発表、日銀が据え置いた翌営業日に銀行11社|決算ウォッチ
  • 三菱UFJ(8306)は前期純利益2兆4272億円で30.3%増。今期計画は2兆7000億円
  • 日産(7201)は2期連続の純損失から今期は黒字転換計画。前1Qは営業赤字
  • 要注意D級は三井E&S(7003)。前期営業益62.7%増でも今期計画は15.0%減

日銀は据え置いた。ただ、中身は据え置きではない

日銀は7月31日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促す、という現状維持を決めた。賛成8、反対1である。

据え置き自体は市場の想定どおりだったが、中身を見ると、反対したのは高田創審議委員で、1.25%程度への引き上げを議案として提出し、否決されている。理由として挙げられたのは、海外発のディマンドショックによる物価の上振れリスクと、海外の金融環境の転換に即応した機動的な対応が必要な新たな局面に入った、という認識だ。

同時に公表された展望レポート(基本的見解)では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比について、2026年度後半以降、2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていくと予想している。リスクバランスは、経済の見通しについては概ねバランスしているとする一方、消費者物価の見通しについては上振れリスクの方が大きいとしている。

つまり、金利は据え置かれたが、動かす理由のほうは積み上がったということである。

そのうえで、為替も動いた週だった。
ドル円は7月30日夜、162円80銭台から157円90銭まで5円弱下落している。政府・日銀による円買い介入とみられる動きだと報じられた。31日にも160円50銭から158円54銭まで2円程度下げる場面があり、その後は160円台に戻している。

本日8月3日は83社が決算発表を行う。うち銀行が11社、総合商社が3社、自動車メーカーが3社だ。金利で収益が変わる会社と、為替で収益が変わる会社が、金利と為替の両方が動いた週末の翌営業日に、まとめて決算発表をおこなうというわけだ。

なお、日銀は展望レポートの背景説明を含む全文は、本日8月3日14時に公表する予定だ。決算の数字とは別に、こちらも目を通しておきたい。

☆【注目度S級】

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306/銀行業) 3月期 1Q プライム

 見どころ:前期(2026年3月期)は経常収益14兆6208億円で7.3%増、経常利益3兆4101億円で27.7%増、親会社株主に帰属する当期純利益2兆4272億円で30.3%増だった。純利益は4期連続の過去最高である。金利のある世界に戻ったことが、そのまま数字に出ている。

 今期の会社計画:2027年3月期の純利益計画は2兆7000億円。前期比11.2%増になる。前期の30.3%増からは伸びが落ちる計画だが、それでも増益を見込んでいる。1Qは、この計画に対してどこまで進んだかを見る。

 1Qで見る数字:前1Q(2025年8月4日発表)は経常収益3兆2539億円、経常利益7085億円、純利益5460億円だった。前期通期に対する前1Qの進捗は純利益で22.5%。同じペースなら今期1Qは6000億円台前半ということになる。ここを上回るか下回るかが、ひとつの目安になる。

 金利との関係を、決算のどこで見るか:銀行の場合、政策金利の引き上げは貸出金利に反映されるまで時間がかかる。7月31日に据え置きが決まったばかりで、その影響は今回の1Q(4〜6月)には当然入っていない。今回の数字に入っているのは、それ以前の金利水準での実績である。金利の話と、今日出る数字は、時間軸が違う。ここを混ぜて読むと判断を誤る。

 スイング目線:7月31日終値3,571円、前日比1.30%高。この日の日経平均は一時前日比3,497円高まで急伸したが、同社の上げは1.30%にとどまった。買われたのは半導体で、銀行株には資金が戻っていない。3営業日で見ると2.46%安である。出来高は5,009万株。

 Point:銀行株は、金利の話が出るたびに動く。ただ今日見るのは金利のニュースではなく、4〜6月の実績だ。私が『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたように、決算は「地雷を避ける」ための守りの作業であって、テーマに乗るための材料ではない。金利が上がりそうだから銀行を買う、という順番で考えると、決算の中身を見ないまま持つことになる。まず数字を見て、それから反応を見るというのが順番だ。

◎【注目度A級】

日産自動車(7201/輸送用機器) 3月期 1Q プライム

 見どころ:前期(2026年3月期)は売上高12兆79億円で4.9%減、営業利益580億円で16.9%減、そして親会社株主に帰属する当期純損失が5330億円だった。前々期も6708億円の純損失で、2期連続の赤字である。営業段階では黒字を保っているが、経常利益は10億円まで落ちている(前期比99.5%減)。営業外に相応の負担があるということだ。

 今期の会社計画:2027年3月期は売上高13兆円で8.3%増、営業利益2000億円で244.8%増、純利益200億円を計画している。赤字からの黒字転換計画だ。営業利益を3.4倍にする前提になっている。

 1Qで進捗率は使えない:ここが読み方の要点になる。前1Q(2025年7月30日発表)は営業損益が791億円の赤字だった。前2Q累計で276億円の赤字、前3Q累計で101億円の赤字、そして通期で580億円の黒字である。期の前半が赤字で、後半に取り戻して通期で黒字にする形になっている。したがって「通期計画2000億円に対して1Qで何%」という進捗率の計算は成り立たない。前1Qの営業赤字791億円と比べて、赤字幅がどこまで縮んだか。あるいは黒字に転じたか。見るのはそこだ。

 為替の影響をどう見るか:円安は輸出企業の円換算額を押し上げるが、今回の1Qは4〜6月の期間であり、7月30日の円買い介入とみられる動きは、当然この数字には入っていない。今回の決算で分かるのは4〜6月の為替水準での実績であって、足元の水準ではない。

 スイング目線:7月31日終値336.2円、前日比5.30%安。日経平均が急反発した日に5%超下げている。出来高は5,718万株で、前日の3,397万株から大きく増えた。3営業日で見ると0.36%安とほぼ変わっておらず、29日に358.2円まで上げたぶんを31日で戻した形になる。株価が300円台の銘柄で1日5%動くということは、値幅としては十数円だ。

 Point:赤字の会社の決算は、黒字の会社より読み違えやすい。良い悪いの基準が「前年比プラスか」ではなく「赤字幅が縮んだか」に変わるからだ。今期は黒字転換の計画を出している以上、1Qで赤字が続いていても計画どおりということはあり得る。逆に、1Qで黒字になっていても通期の計画には届かない、ということもあり得る。私なら、数字そのものより会社が計画を据え置くかどうかを見る。

★【要注意D級】

S級・A級は誰もが見る。ここでは、その陰に隠れていて、しかも値が大きく動きやすい一社を挙げておく。注目度ではなく、値動きの荒さで見るべき銘柄という意味だ。

三井E&S(7003/機械) 3月期 1Q プライム

 見どころ:舶用エンジンと港湾クレーンを手がける会社だ。前期(2026年3月期)は売上高3531億円で12.1%増、営業利益376億円で62.7%増、経常利益448億円で61.7%増。営業益が6割増えている。

 それでも今期計画は減益:ここが読みどころだ。2027年3月期の計画は売上高3700億円で4.8%増、営業利益320億円で15.0%減、経常利益370億円で17.6%減、純利益300億円で22.0%減。前期に6割増やした営業益を、今期は1割5分減らす計画を会社自身が出している。伸びている会社が減益計画を出すときは、そこに理由がある。1Qでその理由が数字に出ているかがチェックポイントだ。

 純利益の見え方にも注意:前期の純利益は384億円で1.6%減だった。営業益が62.7%増えているのに純利益が減っているのは、前々期に一時的な利益があったため。前々期は1Qの時点で純利益287億円に対して営業利益43億円という、明らかに営業外由来の形をしている。前期比を機械的に取ると実態を外す銘柄である。

 1Qで見る数字:前1Q(2025年8月6日発表)は売上高811億円、営業利益88億円だった。前期通期に対する進捗は営業益で23.6%。四半期でおおむね均等に稼ぐ形なので、今期計画320億円に同じ23.6%を当てると1Qで75億円前後になる。前1Qの88億円を下回る計算だ。この水準で出てくるなら計画どおり、ということになる。

 スイング目線:8月2日時点の株価は4,868円。日中値幅は直近20営業日の平均で5.44%と、当日発表83社のなかで3番目に大きい。売買代金は117.8億円で流動性は十分にある。直近1か月では15.6%上昇しており、上げてきたところでの発表になる。

 Point:値幅5.44%というのは、1日で5%前後動く日が普通にあるということだ。動くということは、逆にも同じだけ動く。前期が絶好調だったから安心、という理屈は通らない。現に会社自身が減益計画を出している。私が同社を要注意D級という枠を置いているのは、こういう銘柄が「知名度は低いのに値だけは動く」からで、上がるほうに賭ける枠ではない。1か月で15.6%上げたあとの決算をまたぐのは、上げたぶんだけ落ちる余地も抱えるということだ。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

○【値動き注意】

上の3社のほかに、本日発表する銘柄のなかで値動きの大きいものを10社挙げておく。直近20営業日の日中値幅(高値と安値の差)が大きい順で、売買代金5億円以上のものだけを並べた。添えたのは、なぜ値が動きやすいかという事業の性格だけで、業績の評価はしていない。数字を読むのは上の3社と同じ手順が要るので、気になる銘柄があれば短信に当たってほしい。動くということは、上にも下にも同じだけ動く。持っている人は、その前提で発表日を確認しておきたい。

ニッカトー(5367/ガラス・土石製品) 3月期1Q 値幅7.63%
── 工業用セラミックス。電子部品向けで、当日83社のなかで値幅は最大。

FUJI(6134/機械) 3月期1Q 値幅5.68%
── 電子部品実装ロボットが主力。半導体の物色に連動しやすい。

オルガノ(6368/機械) 3月期1Q 値幅5.35%
── 半導体工場向けの超純水装置。設備投資の増減がそのまま効く。

千代田化工建設(6366/建設業) 3月期1Q 値幅4.89%
── プラント建設。大型案件の採算次第で数字が振れやすい。

日本製鋼所(5631/機械) 3月期1Q 値幅4.53%
── 電池用フィルムの製造装置と防衛関連。テーマが乗りやすい。

三菱自動車工業(7211/輸送用機器) 3月期1Q 値幅4.37%
── 日産・いすゞと同じ日の発表。株価が300円台で値幅が出やすい。

住友ベークライト(4203/化学) 3月期1Q 値幅4.03%
── 半導体封止材で世界首位。半導体の需給に業績が連動する。

東京きらぼしフィナンシャルグループ(7173/銀行業) 3月期1Q 値幅3.91%
── 6月29日に株式分割。分割後で売買単位が下がっている。

ダイトロン(7609/卸売業) 12月期2Q 値幅3.90%
── 半導体製造装置を扱う商社。12月期なので本日は上期。

西日本フィナンシャルホールディングス(7189/銀行業) 3月期1Q 値幅3.05%
── 西日本シティ銀行が中核。金利が地域の貸出にどう出るか。

【本日発表予定】

上記13社を除く70社が本日発表する。主なものを決算期ごとに挙げる。

■3月期 1Q

伊藤忠商事(8001/卸売業) ── 前期は売上高14兆8230億円、純利益9002億円で2.3%増。7月31日終値2,014円、前日比0.47%安。
三菱商事(8058/卸売業) ── 前期は売上高18兆9159億円、純利益8004億円で15.8%減。三菱UFJが最高益を更新した同じグループで、こちらは減益だった。7月31日終値4,776円、ほぼ変わらず。
丸紅(8002/卸売業) ── 7月31日終値5,201円、前日比0.10%高。3営業日では1.35%安。
LINEヤフー(4689/情報・通信業) ── 前期は売上高2兆363億円、営業利益3413億円で8.3%増、純利益1936億円で26.2%増。7月31日終値446.8円、前日比2.53%安。出来高2,554万株。
いすゞ自動車(7202/輸送用機器) ── 日産、三菱自と合わせて自動車3社が同じ日に並ぶ。
エーザイ(4523/医薬品)塩野義製薬(4507/医薬品)持田製薬(4534/医薬品) ── 医薬品が並ぶ。
日本ハム(2282/食料品)プリマハム(2281/食料品)伊藤ハム米久ホールディングス(2296/食料品) ── 食肉3社が同じ日に出る。
ヤマトホールディングス(9064/陸運業)日本航空(9201/空運業) ── 内需の代表格。
リコー(7752/電気機器)JVCケンウッド(6632/電気機器) ── 電機はこの2社。
大和証券グループ本社(8601/証券、商品先物取引業)東京センチュリー(8439/その他金融業) ── 金融では銀行以外にこの2社。
[銀行] 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)と、上の値動き注意に挙げた2行を除くと、群馬銀行(8334)/山形銀行(8344)/山梨中央銀行(8360)/福井銀行(8362)/清水銀行(8364)/紀陽銀行(8370)/愛媛銀行(8541)/富山第一銀行(7184)の8行が発表する。地方銀行が並ぶので、金利の影響が地域の貸出にどう出ているかを横に並べて見られる日でもある。

日本化薬(4272)/セーレン(3569)/東亞道路工業(1882)/日本軽金属ホールディングス(5703)/PALTAC(8283)/ソーダニッカ(8158)/寿スピリッツ(2222)/アイティメディア(2148)/LITALICO(7366)/ソフトクリエイトホールディングス(3371)/NSW(9739)/日産車体(7222)/ティラド(7236)/ワークマン(7564)/東祥(8920)/ぐるなび(2440)ほか

■12月期 2Q

協和キリン(4151/医薬品) ── 12月期なので本日は上期の数字になる。
大塚商会(4768)/東計電算(4746)/JIG-SAW(3914)/オリジナル設計(4642)/いであ(9768)ほか

■9月期 3Q

長谷川香料(4958)/ノエビアホールディングス(4928)/イー・ガーディアン(6050)/ニシオホールディングス(9699)

■6月期 本決算

ジョイフル本田(3191)

このほかスタンダード・グロースの銘柄が発表する。

今後の決算発表予定 またぎ注意

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。
上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。
逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。
ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

本日83社を通過すると、4日に90社、5日に178社、6日に323社、7日に680社と、日を追って増えていく。とくに7日は680社と、7月31日の266社を大きく上回る。持ち株の決算発表日を確認していない人は、今日のうちに見ておきたい。

先週は指数が上下に大きく振れた。週半ばに日経平均が6万448円まで沈み、5月21日以来の安値をつけたあと、週末には一時前日比3,497円高まで戻している。週を通せば249円13銭安の6万4362円02銭で、ほぼ行って来いだ。ただ中身は入れ替わっていて、戻したのは半導体である。銀行も商社も自動車も、この戻りには乗っていない。

この地合いで決算をまたぐと、変数が2つになる。決算の中身と、半導体に戻った資金がそのまま続くかどうかだ。どちらか一方が読めても、もう一方は読めない。

損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信にもとづく。三菱UFJフィナンシャル・グループは2026年5月15日公表の2026年3月期決算短信、日産自動車は2026年5月13日公表の同期決算短信、三井E&Sは2026年5月14日公表の同期決算短信で確認した。四半期実績はJPX公式のJ-Quants APIによる。株価・出来高・日中値幅も同APIによる値で、三菱UFJ・日産ほかは7月31日終値時点。値動き注意に挙げた10社の日中値幅は、8月2日時点で直近20営業日の平均を取ったもので、いずれも売買代金5億円以上の銘柄に限っている。日銀の決定内容と展望レポートの記述は、日本銀行が2026年7月31日に公表した「当面の金融政策運営について」および「経済・物価情勢の展望(2026年7月)【基本的見解】」による。為替と先週の市況は報道による。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
記載内容は将来の株価や利益を保証するものではありません。
株式の売買はご自身の判断と責任において行ってください。

コマンドY/スイングトレーダー
著書『10万円を1年で100万円にする株式投資術』。Gold beans.で毎日、決算短信のポイントを解説。
[著書をAmazonで見る →](※Amazonアソシエイトリンク)

この記事を書いた人

コマンドY

コマンドYスイングトレーダー

大学卒業後、メーカーを経て広告代理店にてPR・広報のコンサルとしてと企業支援に従事。ところが新型コロナと50歳の節目が重なり、「このまま真面目に働いていていいのか?」と自問自答。一念発起し脱サラして、FIREを目指してスイングトレーダーに転身。現実はまだ“たき火レベル”だが、日々発表される決算書とチャートの動向と格闘している。最近ではAIを駆使し、銘柄研究を行っている。

※このサイトは「事業再構築補助金」を活用しています