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日経平均2,566円安の翌日に55社が決算、アドバンテストは10%安から|決算ウォッチ

28日の日経平均は2,566円安の62,364円。韓国発のAI株安が再燃し、キオクシア(285A)はストップ安、東京エレクトロン(8035)も1割超下げた。29日に決算を出すアドバンテスト(6857)は10.1%安、要注意D級に挙げたエンプラス(6961)も8.3%安。つまり本日の決算は、決算とは別の理由ですでに大きく売られた地点から始まるわけだが、これにどう対処すべきか。

コマンドY2026/07/29

日経平均2,566円安の翌日に55社が決算、アドバンテストは10%安から|決算ウォッチ
  • 28日の日経平均は2,566円安。アドバンテスト(6857)は10.1%安での決算発表
  • 日本電気(6701)は前期営業益40.3%増。半導体安の震源から外れ28日は逆行高
  • 要注意D級はエンプラス(6961)。前期は純利益32.7%増、今期計画は一転して減益

相場が急落した日の、決算との向き合い方

28日の下げは、個別企業の決算が悪かったから起きたものではない。半導体メモリの競争激化という、業界全体にかかる材料で売られた。ここを取り違えないことが、まず出発点になる。

下げの理由が「相場」なのか「その会社」なのかを分ける。
 28日に売られた銘柄の多くは、自社の業績が悪化したわけではない。地合いに巻き込まれた形だ。一方でキオクシアのように、メモリ価格の競争が業績に直結する会社もある。同じ「1割安」でも中身が違う。

急落の翌日に決算をまたぐのは、平時よりもさらに分が悪い。
 決算書Watchでは普段からまたぎを推奨していないが、こういう日はなおさらだ。理由は単純で、変数が2つに増えるからである。決算の内容が良いか悪いかに加えて、相場全体が落ち着くかどうかが乗ってくる。良い決算を出しても、地合いが悪ければ売られる。読み切れる場面ではない。

下がったから買う、は理由になっていない。
 10%下げた銘柄は安く見える。だが下げ止まったかどうかは、下げ幅ではなく、その後の値動きと出来高でしか確認できない。私が『10万円を1年で100万円にする株式投資術』で繰り返し書いたのは、落ちてくるナイフを掴まないということだ。急いで拾わなくても、上げ始めてから乗れば十分に間に合う。

持っている場合は、撤退ラインを先に決める。
 含み損を抱えた状態で決算を迎えると、判断が「戻ってほしい」という願望に寄っていく。いくらまで下げたら降りるかを、決算が出る前の、まだ冷静なうちに決めておく。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

なお、下の各社の分析は前期までの実績と会社計画にもとづくものだ。28日の急落を織り込んだ株価水準の評価ではないし、当日の着地を予想するものでもない。

7月29日 本日発表の決算 55社

水曜は55社。火曜の34社からさらに増える。半導体と電機、そして電力・銀行が重なる日だ。
値が動きやすい3社について、直近の短信から「どこを見るか」を具体的に置いておく。最後の1社は、S級・A級の陰に隠れているが、値動きが荒い「要注意D級」として挙げる。なお、いずれも本日発表の1Qはこれからで、下の数値は前期までの実績と会社計画である。当日の着地を予想するものではない。

☆【注目度S級】

アドバンテスト(6857/電気機器) 3月期 1Q プライム

 見どころ:半導体テスタ大手。前期(2026年3月期)は売上収益1兆1,286億円で44.7%増、営業利益4,991億円で118.8%増と、ほぼ2.2倍になった。営業利益率は44.2%。AI向け半導体のテスト需要がそのまま数字に出た形だ。今期(2027年3月期)の会社計画は売上1兆4,200億円(25.8%増)、営業利益6,275億円(25.7%増)。

 1Qで見る数字:前1Q(2025年7月発表)は売上2,638億円・営業利益1,240億円だった。今1Qがこれを上回るかがまず一点。もう一点は進捗率で、通期計画6,275億円に対して1Qがどこまで積めたか。前期は1Qで通期の24.8%を稼いでいるので、四半期の目安25%が一つの基準になる。

 スイング目線:28日は10.1%安の25,510円で引けた。3営業日前の30,800円から見れば17%下げている。値がさで値幅が大きく、指数寄与度も高いため、決算後はセクター全体を動かすことがある。ただし今回は決算の前に相場要因で大きく削られており、決算が良くても地合いに押される可能性がある。またぐより、発表後の反応を見てからのほうが分がいい。撤退ラインは先に決めておきたい。

 Point:営業利益率44%は、製造業としては異例の水準だ。私が『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたように、こういう銘柄は good/bad より「期待に対してどうか」で振れる。数字が良くても下げることがある。私なら、決算そのものより発表後の出来高を見る。
 ※本日発表の1Qはまだ出ていない。上の数値は前期までの実績と会社計画であり、当日の結果を予想するものではない。

◎【注目度A級】

日本電気(6701/電気機器) 3月期 1Q プライム

 見どころ:前期(2026年3月期)は売上収益3兆5,827億円で4.7%増、営業利益3,599億円で40.3%増。純利益は2,702億円で54.3%増と、いずれも大きく伸びた。営業利益率は10.0%で、初めて2桁に乗せている。

 1Qで見る数字:この会社は1Qが薄い。前1Qの営業利益は354億円で、前期通期3,599億円のわずか9.8%にすぎない。四半期の目安25%と比べて低く見えるのは季節性によるもので、それ自体は異常ではない。見るべきは進捗率ではなく、前1Q(売上7,157億円・営業益354億円)との前年同期比である。

 スイング目線:28日は日経平均が3.95%安となるなかで、1.0%高の4,490円と逆行高だった。半導体ではなくITサービスが主力のため、今回の下げの震源から外れている。時価総額が大きいぶん、1Qの数字だけで急に方向が決まりにくい。ただし利益率10%を維持できるかは注目される。ここが崩れると、前期の改善が一時的だったと読まれかねない。

 Point:1Qが薄い会社を進捗率で判断すると、たいてい読み違える。私なら前年同期比だけを見る。決算は数字を並べる作業ではなく、その会社の型を知ってから見るものだ。
 ※本日発表の1Qはまだ出ていない。上の数値は前期までの実績であり、当日の結果を予想するものではない。

★【要注意D級】

エンプラス(6961/電気機器) 3月期 1Q プライム

 S級・A級は誰もが見る。ここでは、その陰に隠れていて、しかも値が大きく動きやすい一社を挙げておく。注目度ではなく、値動きの荒さで見るべき銘柄という意味だ。

 見どころ:半導体検査ソケットと光通信用レンズの会社だ。アドバンテストが「半導体を検査する装置」なら、エンプラスは「検査するときに半導体を挿す受け皿」を作っている。同じAI・半導体テストの流れの中にいながら、知名度は段違いに低い。前期(2026年3月期)は売上高425億円で11.7%増、営業利益61億円で16.6%増、純利益52億円で32.7%増と、利益の伸びが売上を大きく上回った。

 1Qで見る数字:注目は今期(2027年3月期)の会社計画だ。売上高480億円(12.8%増)と伸ばす一方、営業利益は64億円(3.8%増)、純利益にいたっては50億円で4.5%減の計画を置いている。前期に純利益32.7%増だった会社が、今期は減益計画を出しているということだ。この落差をどう見るか。1Qの数字が計画線を上回れば、計画が保守的だったという読み方が出てくる。前1Q(2025年7月発表)は売上90億円・営業利益9億円だった。

 スイング目線:28日は8.3%安の11,950円。株価1万円超の値がさで、直近20日の日中値幅は平均5.9%と大きい。当日発表の55社の中では上から4番目の水準だ。一方で売買代金は29億円あり、板が極端に薄いわけではない。値幅が取りやすく、かつ売買もできる——この枠で取り上げる条件はそろっている。ただし今回の8.3%安は、この会社の業績が理由ではなく半導体セクター全体の下げに連れたものだ。値がさゆえに1単元の金額も大きく、資金の拘束は重い。

 Point:私がD級と呼ぶのは「業績が悪い株」ではなく、見ている人が少ないのに値が動く株のことだ。S級銘柄は情報が行き渡っているぶん、決算内容が織り込まれていることが多い。むしろこういう会社のほうが、数字が出た瞬間に評価が変わる余地が残っている。私が『10万円を1年で100万円にする株式投資術』で中型株を重視するのも、この余地を取りにいくためだ。ただし「要注意」と付けているのは、動くということは逆にも同じだけ動くからである。値幅が取れる銘柄は、損も同じ速さで膨らむ。
 ※本日発表の1Qはまだ出ていない。上の数値は前期までの実績と会社計画であり、当日の結果を予想するものではない。

【本日発表予定】

以下も本日発表。保有していれば、またぎの判断が必要になる。

プライムの主な銘柄
小松製作所(6301/機械) 3月期1Q ── 建機。北米・資源国の需要と為替の影響を見る。
野村ホールディングス(8604/証券) 3月期1Q ── 相場の活況度がそのまま収益に出る。
ソシオネクスト(6526/電気機器) 3月期1Q ── 半導体設計。案件の期ズレで数字が振れやすい。
マキタ(6586/機械) 3月期1Q ── 電動工具。海外比率が高く、為替の影響を受ける。
ANAホールディングス(9202/空運業) 3月期1Q ── 夏の旅客需要と燃油費。
中部電力(9502/電気・ガス業) 3月期1Q ── 燃料費と再エネ。電力3社が同日に出る。
小糸製作所(7276/電気機器) 3月期1Q ── 自動車ランプ。完成車の生産動向に連動。
MARUWA(5344/ガラス・土石製品) 3月期1Q ── セラミック基板。AI関連で見られやすい。
日本酸素ホールディングス(4091/化学) 3月期1Q ── 産業ガス。半導体向けの動向。
日本航空電子工業(6807/電気機器) 3月期1Q ── コネクタ。スマホ・車載の需要。
きんでん(1944)/トーエネック(1946)/エス・エム・エス(2175)/コア(2359)/バリューコマース(2491)/カワチ薬品(2664)/東京エレクトロン デバイス(2760)/三菱総合研究所(3636)/日本ゼオン(4205)/日本精化(4362)/第一工業製薬(4461)/フューチャー(4722)/電通総研(4812)/小森コーポレーション(6349)/バルカー(7995)/サンワテクノス(8137)/滋賀銀行(8366)/ほくほくフィナンシャルグループ(8377)/極東証券(8706)/アイザワ証券グループ(8708)/ゼンリン(9474)/北陸電力(9505)/東北電力(9506)/杉本商事(9932)/ジェコス(9991)

スタンダード・グロースの銘柄(出来高が細い場合があり、売買のしやすさに注意)
南海辰村建設(1850)/ドリコム(3793)/ODKソリューションズ(3839)/エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート(3850)/Aiming(3911)/エイトレッド(3969)/日本鋳造(5609)/SBIリーシングサービス(5834)/エムケー精工(5906)/エスティック(6161)/トリニティ工業(6382)/大井電気(6822)/FDK(6955)/アコム(8572)/エリアリンク(8914)/杉村倉庫(9307)

今後の決算予定 ── またぎ注意

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。
上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。
今週はここが山だ。明日30日は124社、明後日31日は266社。そのうえ相場が荒れている。持ち株の発表日は、今日のうちに確認しておきたい。

■7月30日(木) 124社
東京エレクトロン(8035)電気機器/京セラ(6971)電気機器/武田薬品工業(4502)医薬品/塩野義製薬(4507)医薬品/日本たばこ産業(2914)食料品/オリエンタルランド(4661)サービス業/野村総合研究所(4307)情報・通信業/清水建設(1803)建設業
 半導体の東京エレクトロンが出る。28日に11.0%安と大きく売られた銘柄だ。アドバンテストの反応と合わせて見ると、セクターの温度がつかみやすい。

■7月31日(金) 266社
村田製作所(6981)電気機器/三菱電機(6503)電気機器/デンソー(6902)輸送用機器/HOYA(7741)精密機器/第一三共(4568)医薬品/三井住友フィナンシャルグループ(8316)銀行業/キオクシアホールディングス(285A)電気機器/ZOZO(3092)小売業
 今週の山場。266社が一斉に出る。今回の下げの震源となったキオクシアもこの日だ。28日はストップ安まで売られており、決算の内容次第では値幅がさらに大きくなる。この日をまたぐ判断は、今日か明日のうちに決めておきたい。

■8月4日(火) 77社
トヨタ自動車(7203)輸送用機器/三菱重工業(7011)機械/ダイキン工業(6367)機械/日本製鉄(5401)鉄鋼/三井物産(8031)卸売業
 来週はトヨタが出る。指数への影響が大きい日になる。

またがずに降りても、チャンスが消えるわけではない。良い内容で上がり始めたところに、出来高を確認してから乗り直せばいい。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。急ぐ必要はない。

※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信(アドバンテスト:2026年3月期決算短信、日本電気:2026年3月期決算短信、エンプラス:2026年3月期決算短信)にもとづく。株価・出来高・日中値幅はJPX公式のJ-Quants APIによる2026年7月28日終値時点の値。日経平均の終値と28日の市況は日本経済新聞の報道による。本日発表の第1四半期決算の内容ではない。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
記載内容は将来の株価や利益を保証するものではありません。
株式の売買はご自身の判断と責任において行ってください。

コマンドY/スイングトレーダー
著書『10万円を1年で100万円にする株式投資術』。Gold beans.で毎日、決算短信のポイントを解説。
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この記事を書いた人

コマンドY

コマンドYスイングトレーダー

大学卒業後、メーカーを経て広告代理店にてPR・広報のコンサルとしてと企業支援に従事。ところが新型コロナと50歳の節目が重なり、「このまま真面目に働いていていいのか?」と自問自答。一念発起し脱サラして、FIREを目指してスイングトレーダーに転身。現実はまだ“たき火レベル”だが、日々発表される決算書とチャートの動向と格闘している。最近ではAIを駆使し、銘柄研究を行っている。

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