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資源エネルギー庁・実装加速連絡会で示す次世代型太陽電池戦略――2030年14円、2040年10円台へ

2040年10~14円以下――資源エネルギー庁「実装加速連絡会」が金額を示したペロブスカイト太陽電池の実現の可能性と課題とは

Gold beans.編集部2025/09/26

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民間、自治体がすすめるペロブスカイト太陽電池の実証実験

日揮が苫小牧で行っている「薄膜太陽電池のシート状架台による施工方法」実証実験

そのための研究開発支援も進められており、積水化学工業やパナソニックHD、リコー、エネコートテクノロジーズなどの企業が採択され、量産化と社会実証が進む。
最近でも9月24日に、国立研究開発法人・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、日揮ホールディングス子会社の日揮が開発を進めるフィルム型次世代太陽電池向け施工法「シート工法」を「設置場所に応じた太陽光発電システム技術開発」事業に採択。2027年度まで実証を重ね、施工速度やコストの大幅な改善を目指すとされる。

一方、自治体の動きも活発化している。
たとえば、大阪府では万博会場に世界最大級のペロブスカイト太陽電池を設置。会場各所でペロブスカイト太陽電池の展示が行われている。具体的には、積水化学工業はバスターミナルに世界最大級のフィルム型を設置し、豊田合成などは太陽電池を組み込んだスマートウェアを披露するなど、来場者が次世代技術を間近に体感できる場となっている。

将来を見据えた動きとしては、東京都では2040年までに約2GWの導入を目指すロードマップを公表。2025年度から独自の支援策を実施する予定だ。また、愛知県はトヨタやアイシンと連携した協議会を設立。福島県でもJヴィレッジなどで実証実験が開始されている。
こうした動きは、今後も広がっていくだろう。

しかし、社会実装するには、安全で効率的な施工方法の確立が欠かせない。国はフレキシブル太陽電池の設置・施工ガイドラインを2025年度中に策定し、公表する方針だ。
具体的な内容としては、強風や積雪などの被害事例を踏まえた設計基準や、電気火災を防ぐための安全対策なども盛り込まれる予定。今後は施工の横展開を可能とする知見を蓄積し、随時改訂を進めていくとしている。

予算面では、令和8年度の概算要求において次世代型太陽電池に関連する技術開発事業として31億円、GXサプライチェーン構築支援事業として792億円が計上された。さらに「ペロブスカイト太陽電池社会実装モデル創出事業」には50億円が要求されており、初期導入に向けた自治体や民間企業への補助が想定される。

こうした官民の連携は、単なる技術開発にとどまらず、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた布石となるだろう。国内での市場立ち上げを起点に、国際標準化や海外展開を見据えた動きも進む。とくにペロブスカイト太陽電池は、ヨウ素といった原材料で日本が世界的な強みを持ち、こうした点からも追い風になりそうだ。

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