対象は総取引件数の約157万件、面積ベースの30.8%
外国人による土地取得について、具体的に動き出す。
高市政権は、発足以来「戦略的な外国人受け入れ」と「国益・安全保障の確保」を両輪に据えた政策運営を掲げている。
外国人の受け入れについては、高度人材の誘致や投資促進を進めとしている。その一方で、重要インフラ周辺や国境離島などにおける土地取得の実態把握を強化する方針も鮮明にしている。
その1つが国土交通省が出した「国土利用計画法施行規則の一部を改正する省令」だ。
そもそもは当時の岸田政権が、外国からに投資と経済安全保障強化を同時に進めるとした政策の1つで、当時、経済安全保障担当相として高市首相もかかわり制度整備を進めてきたものだ。
その内容は大規模な土地取引に係る届出事項を見直し、法人が権利取得者となる場合の情報把握を強化するというもの。
具体的には、国土利用計画法では、一定規模以上の土地取引があった場合、取得者は契約締結後2週間以内に利用目的などを都道府県などへ届け出る必要がある。その対象は、市街化区域で2000㎡以上、そのほかの都市計画区域で5000㎡以上、都市計画区域外では1ha以上とされている。そして、必要に応じて利用目的の変更を勧告でき、従わない場合は公表も可能とされるというもの。
この事後届出制度は、全国一律で大規模取引を網にかける。国交省資料によると、対象は令和4年の事後届出件数は1万8708件で、全国の総取引件数約157万件の1.2%にとどまるが、面積ベースでは30.8%を占める。
また、大規模な土地取引の際の届出事項に法人代表者の国籍等を追加された。このことで広い土地が動く取り引きは、この制度で網がかかる。
もともとの届出事項は、氏名・住所、土地の所在や面積、権利の内容、対価の額、利用目的などが中心だった。しかし、この改正では、個人取得者の国籍、法人取得者の設立準拠法国が新たに加えられ、取得主体の属性把握が強化される。
実質支配者の見極めがポイント
今回の改正では、そこからさらに踏み込んだ。
法人が土地を取得する場合、①代表者の氏名・国籍、②同一国籍の者が役員の過半数を占める場合の当該国籍、③同一国籍の者が議決権の過半数を占める場合の該当する国籍を届け出事項に追加されている。
ポイントは「形式」ではなく「実質支配者」の把握にあるということだ。つまり、「日本法人」「日本人が代表取締役」という外形だけでなく、誰が意思決定を握っているのか、どの国に帰属する主体が支配的なのかまでを把握しようとした点だ。そして、利用目的の審査をより実効性のあるものにしようというもの。
とはいえ、今回の改正によって外国人や外国資本による土地取得を一律に規制するものではない。あくまで大規模取引を対象とした事後届出制度の中身を厚くする措置だ。投資環境は維持しつつ、情報の透明性を高めるといもの。
施行は4月1日から。対象となる法人にとっては、代表者や役員構成、議決権の状況を整理したうえでの届出対応が求められる。








