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【尿トラブル】頻尿、膀胱炎、残尿感…さまざまな症状を改善する漢方活用と生活改善法

頻尿・膀胱炎・残尿感などの尿トラブルは、体質やストレス、冷えなど複数の要因が重なり、人に相談しづらく長引きやすい悩みです。本記事では、八味地黄丸・猪苓湯・竜胆瀉肝湯をはじめとする漢方の症状別選び方と、改善に役立つ生活習慣をわかりやすく紹介します

斉藤明美2025/11/18

水毒②(気虚:エネルギー不足)タイプ
冷えや胃腸虚弱による頻尿や下半身の違和感

胃腸が弱い人が寒い場所や冷房の強い部屋で長く過ごしたり、冷飲食を過剰に摂ると、気を消耗して気虚となり、結果的に水の巡りが低下し、排尿異常が生じます。脾胃を補いながら余分な水分を排出する効果の漢方薬を用います。

補中益気湯(ホチュウエキキトウ)
【主な症状】頻尿、手足の倦怠感、食欲低下、胃下垂、眼差しや言語に力がない、痔
【効果】脾胃(ひい)を補い、全身の機能を高め代謝を促進することでからだのエネルギーである気を増やし、さらには尿道括約筋の機能を高めます。
【成分の効能】人参(ニンジン)、黄耆(オウギ)、白朮(ビャクジュツ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)で気を補いながら脾の働きを高め、升麻(ショウマ)、柴胡(サイコ)で下に降りた気を上に引き上げ、さらに筋肉の働き活発にすることで症状を改善します。

清心蓮子飲(セイシンレンシイン)
【主な症状】ストレス、イライラなどによる膀胱炎や残尿感、尿のにごり、排尿痛を感じる、胃腸虚弱、全身倦怠感、手のひらや足裏のほてり、不安感、のぼせ
【効果】胃の働きを高める四君子湯がベースとなり、からだに潤いをつける、熱を去る、さらには水をさばくことにより症状を改善します。
【成分の効能】主薬の蓮肉は滋養強壮、鎮静作用があり、人参、黄耆、甘草で脾胃の働きを高め、麦門冬(バクモンドウ)はからだに潤いを与え、黄芩や地骨皮(ジコッピ)で熱をさまし茯苓や車前子で余分な水をさばきます。

腎虚タイプ 腎機能の低下や加齢による頻尿、夜間尿

水の巡りを調節する腎機能は、加齢と共に低下し腎虚となります。高齢者になると頻尿や尿もれ、夜間尿のほか、下半身の冷えや足腰の脱力といった症状もみられます。
体を温めながら、加齢と共に失われる生薬を補うことでからだ全体の機能低下を改善することで症状を改善します。

八味地黄丸
【主な症状】頻尿、尿もれ、夜間尿、手足が冷える、足腰が疲れやすい、目がかすむ
【効果】八つの生薬でからだを温めながら水代謝を促進し、血の循環を整えることで症状を改善します。
【成分の効能】腎の新陳代謝を高める六味丸〈地黄、山茱萸(サンシシ)、山薬(サンヤク)、沢瀉、茯苓、牡丹皮(ボタンピ)〉に桂皮(ケイヒ)と附子(ブシ)が加わることでからだ全体を温め、全身の機能を高めます。別名「腎気丸」といわれ中年以降の方の新陳代謝を高める漢方薬として知られています。

牛車腎気丸
【主な症状】尿量減少または多尿、頻尿、排尿困難、むくみ(主に下肢)、腰・膝痛、しびれ
【効果】筋肉や骨に栄養を与え、水分代謝を改善する「八味地黄丸」に血流促進や利水作用の強化を図る生薬が加わることで腎機能の低下による下半身の不調に働きます。
【成分の効能】八味地黄丸に車前子と牛膝(ゴシツ)を加えた漢方薬です。車前子は茯苓と組んで利尿効果を更に強めるだけでなく膀胱内の余分な熱をさます働きがあり、牛膝は利尿作用だけでなく、気血や薬の効能を足腰など下半身へ導く働きがあり「引経薬」と呼ばれています。この二つの生薬により気や水を巡らす効果が一層強められます。

【ワンポイントアドバイス】
1)尿意を感じたら我慢しない
2)冷飲食の摂り過ぎに注意
3)水分摂取は「少量をこまめに」がポイント
4)バランスの摂れた食生活を心がけカフェイン、アルコール、辛い物などの摂り過ぎに注意
5)尿トラブルに役立つ食材を積極的に摂取
 腎虚を補う食材:くるみ、黒ゴマ、黒豆、ひじき、わかめ、のり
 気と胃腸を補う食材:山芋、大豆
 水の代謝を促す食材:ハト麦、冬瓜、しじみ、スイカ
6)骨盤底筋を鍛えるなど適度な運動で筋肉の低下を防ぐ
7)入浴、足湯、カイロなどを活用してからだを冷やさない工夫をする

次回は「便秘」についての漢方薬を紹介します。

『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』斉藤明美 著
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この記事を書いた人

斉藤明美

斉藤明美薬剤師・医学博士

北里大学薬学部卒業後、大学病院、企業診療所、透析施設で薬剤師として勤務。その後、製薬会社で企画販売に従事し、体調を崩した時に漢方薬に出会い、漢方を学びはじめる。日本漢方協会漢方講座を経て、田畑隆一郎先生の無門塾入門、愛全診療所 蓮村幸兌先生(漢方専門医)の漢方外来にて研修。現在は「より健やかに、更に美しく」を目指して患者さんの漢方相談、わかりやすい漢方の啓蒙活動に取り組んでいる。著書に『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』(ごきげんビジネス出版)がある。

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