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北川精機で読み解く 指数と中身が逆行した日の株価と個別銘柄の動き|決算ウォッチ

21日の日経平均は200円43銭安の6万6016円36銭で反落した。本日24日の決算発表は0社だ。前号で北川精機の来期計画を純利益26.45%増と書いたが、短信の通期計画は8.0%増だった。訂正したうえで、21日の値動きを見ていく。

コマンドY2026/08/24

北川精機で読み解く 指数と中身が逆行した日の株価と個別銘柄の動き|決算ウォッチ
  • 21日は日経平均が0.30%安。ファーストリテリ1銘柄で222円85銭を押し下げた
  • 北川精機(6327)の来期純利益計画は8.0%増。26.4%増は営業利益の伸び率
  • 北川精機は21日に6.77%安。3営業日で17.79%下げ、戻りの途中で売り直された

この記事でわかること
・前号の訂正──北川精機の来期純利益計画は26.45%増ではなく8.0%増
・8月21日の東京市場──指数は下げ、銘柄の過半数は上げた
・北川精機(6327)──訂正した数字で見ると、21日の下げに説明がつく
・パン・パシフィックHD(7532)──見立て通り、戻り切れていない
・あい ホールディングス(3076)──3社のなかで最も静かに終えた
・【本日発表予定】8月24日は決算発表ゼロ
・今後の決算発表予定──またぎ注意

前号の訂正──北川精機の来期純利益計画は26.45%増ではなく8.0%増

本題に入る前に、前号の誤りを訂正する。

8月21日号で、北川精機について「2027年6月期の純利益を26.45%増える計画としている」と書いた。これは誤りだった。決算短信を読み直したところ、2027年6月期の通期計画は次のとおりだった。

項目 2026年6月期実績 2027年6月期計画 増減率
売上高 66億700万円 100億円 +51.3%
営業利益 9億4900万円 12億円 +26.4%
経常利益 10億3100万円 11億8000万円 +14.3%
純利益 7億5000万円 8億1000万円 +8.0%

26.4%増は営業利益の伸び率で、純利益は8.0%増だ。前号は営業利益の数字を純利益として書いていた。項目の取り違えである。

この連載は決算短信の数字を読む連載なので、その数字を間違えては意味がない。まずはお詫びして訂正する。

そのうえで、この訂正には続きがある。訂正した数字のほうが、21日の値動きを読み取ることができたのだ。

8月21日の東京市場──指数は下げ、銘柄の過半数は上げた

21日の日経平均は200円43銭安の6万6016円36銭で反落した。前日の米国市場でウォルマートの株価が下落し、消費関連株に売りが先行した流れを引き継いだためだ。また、米長期金利の上昇も重しにもなった。

この日の相場は、指数の数字だけでは読めない。

指標 8月21日 前日比
日経平均 6万6016円36銭 ▲200円43銭(▲0.30%)
TOPIX 4067.29 +7.56(+0.19%)
プライム平均株価 +0.12%

日経平均は下げたが、TOPIXは上げている。東証プライムの値上がりは883銘柄、値下がりは622銘柄で、数のうえでは値上がりが過半数を占めた。当サイトの独自指標であるプライム平均株価も+0.12%だ。

この逆行の理由は、寄与度を見るとはっきりする。

区分 銘柄 寄与度
押し下げ ファーストリテイリング ▲222円85銭
押し下げ ソフトバンクグループ ▲106円20銭
押し下げ リクルートホールディングス ▲24円64銭
押し上げ アドバンテスト +130円33銭
押し上げ キオクシアホールディングス +32円15銭
押し上げ 東京エレクトロン +27円15銭

ファーストリテイリング1銘柄で222円85銭を押し下げている。この日の日経平均の下げ幅は200円43銭なので、この1銘柄がなければ指数は上げていた計算になる。同社の株価は2770円安で、消費関連株が売られた流れの中心にいた。

業種別では海運業、鉱業、石油・石炭製品、保険業、卸売業が上昇し、その他製品、医薬品、精密機器、ガラス・土石製品、小売業が下落した。上げた業種と下げた業種が、きれいに分かれている。原油高を受けて資源・海運が買われる一方、消費関連が売られたという構図になる。

売買高は22億859万株、売買代金は7兆9134億円で、前日の8兆6034億円から減っている。26日に米エヌビディアの決算発表を控えていることもあり、積極的に動きにくい地合いだった。

指数が下げた日に銘柄の過半数が上げる。こういう日は、指数だけを見ていると相場を読み違える。日経平均は株価平均型なので、ファーストリテイリングのような値がさ株の動きが強く出るからだ。指数が下げたからといって、持ち株が下げたとは限らないのだ。

北川精機(6327)──訂正した数字で見直すと、21日の下げに説明がつく

項目
前日終値 3470円
始値 3330円(前日比▲4.03%)
高値/安値 3350円/3230円
終値 3235円(前日比▲6.77%)
日中値幅 3.72%
出来高 44万9000株(前日比▲31.9%)

前号の見立てを外した。21日号では、20日の値動きについて「売り物が減ったところに買いが入ったという素直な戻り」と書き、下げ幅の25.6%を取り戻したことを評価した。その翌日に6.77%下げている。

3営業日の推移を並べると、戻りが続かなかったことがよくわかる。

日付 終値 前日比 出来高
8月18日 3935円 162万7300株
8月19日 3310円 ▲15.88% 141万4300株
8月20日 3470円 +4.83% 65万9300株
8月21日 3235円 ▲6.77% 44万9000株

18日の3935円から数えると、3営業日で17.79%下げた。20日にいったん160円戻したが、21日はそれを上回る235円を失って、19日の安値3310円をも下回っている。

出来高が語っていること

注目したいのは出来高だ。19日から21日にかけて、141万株→65万株→44万株と一貫して減り続けている。

前号では、20日の出来高減少を「売り物が減ったところに買いが入った」と読んだ。だが21日の値動きを見ると、別の読み方のほうが正しかった。売り物が減ったのではなく、買いも売りも減っていたのである。参加者が引いた薄い商いのなかで、20日は少しの買いで上がり、21日は少しの売りで下がったということだ。

出来高をともなわない値動きは、方向を示す情報になりにくい。20日の反発を「素直な戻り」と読んだのは、この点で読み違えた。戻りを確認するには、出来高が増えながら上げる日が要るということだ。

訂正した数字が示すもの

そして冒頭で訂正した北川精機の来期計画が、ここに反応した。

前号は「北川精機は来期純利益26.45%増、パン・パシフィックHDは+0.37%。絵の描き方がまるで違う」と書いた。この対比自体が、誤った数字の上に立っていた。

正しくは北川精機の来期純利益計画は8.0%増だ。パン・パシフィックHDの+0.37%と比べれば高いが、26.45%増とは印象がまるで違う。

さらに中身を見ると、慎重に読むべき点がある。

項目 2027年6月期計画 増減率
売上高 100億円 +51.3%
営業利益 12億円 +26.4%
経常利益 11億8000万円 +14.3%
純利益 8億1000万円 +8.0%

売上を51.3%増やす計画を立てながら、純利益は8.0%しか増えない絵になっている。売上から純利益に向かって、増加率が51.3%→26.4%→14.3%→8.0%と段階的に落ちていく。売上の伸びが利益に届いていないのだ。

売上が5割増える計画は、それ自体が大きな数字で、達成できるかどうかという論点が残るうえに、達成しても純利益は1割増えない。この形を見て、20日に買った人が21日に売り直したとしても不思議ではない。

前号で「来期の計画が違えば、下げたあとの戻り方が変わる」と書いたことは、方向としては間違っていなかった。ただ北川精機を「絵を描けている側」に置いたのは、数字の取り違えによる誤りだった。訂正して読み直すと、21日の下げのほうが計画の中身に合っている。

スイング目線

北川精機は3935円から3235円まで、3営業日で17.79%下げた。下げ幅だけを見れば安く見える水準だが、下げ止まりは下げ幅では確認できない。

この銘柄は日中値幅が20日に6.04%、21日に3.72%あった。値動きの荒さは徐々に収まってきているが、出来高も一緒に減っている。商いが細ったまま値幅だけが縮むのは、動きが止まったというより、参加者がいなくなった状態に近い。

私が著書『10万円を1年で100万円にする株式投資術』で書いてきたのは、上がり始めを出来高で確かめてから乗る、ということだった。いまの北川精機は、その条件を満たしていないのだ。

パン・パシフィックHD(7532)──見立て通り、戻り切れていない

項目
前日終値 810円20銭
始値 811円(前日比+0.10%)
高値/安値 822円/806円30銭
終値 818円20銭(前日比+0.99%)
日中値幅 1.95%
出来高 1616万4100株(前日比▲30.9%)

こちらは前号の見立て通りになった。21日は0.99%上げたが、戻りと呼べる水準ではない。

日付 終値 前日比
8月18日 915円50銭
8月19日 814円10銭 ▲11.08%
8月20日 810円20銭 ▲0.48%
8月21日 818円20銭 +0.99%

18日の915円50銭から数えると、3営業日で10.63%下げたままだ。19日に101円40銭下げたのに対し、20日・21日の2日間で戻したのは4円10銭にすぎない。

前号では「売られた理由が消えていない」と書いた。その理由は来期計画だ。

項目 2027年6月期計画 増減率
売上高 2兆6870億円 +9.89%
営業利益 1790億円 +2.38%
経常利益 1753億円 ▲1.24%
純利益 1105億円 +0.37%

売上を1割近く伸ばしながら、経常利益は減る計画だ。この事実は21日になっても変わっていない。だから株価も戻らない。

値動きの形も、方向感の乏しさを示している。高値822円、安値806円30銭で日中値幅は1.95%。19日の下げのあと、20日は3.25%、21日は1.95%と値幅が縮んできた。出来高も3499万株→2339万株→1616万株と減り続けている。

売り物は一巡したが、買い戻しも入らない。この状態が3営業日続いている。810円前後で売り買いが均衡した、というのが正確な見方だ。

スイング目線

915円50銭から818円20銭まで下げた水準を安いと見るかどうかは、来期計画をどう評価するかによる。着地した2026年6月期は、売上高2兆4452億円で8.8%増、営業利益1748億円で7.7%増、純利益1100億円で21.6%増と、4項目すべてが会社計画を上回っていた。配当も9円50銭へ増やしている。

過去の実績だけを見れば良い決算だ。それでも株価が下げたのは、市場が見ているのが過去ではなく次の1年だからだ。ここは前号から変わらない。

下値を確認するなら、日経平均が下げた日に逆行して上げるかを見たい。21日は指数が0.30%安の日に0.99%高だったので、その兆しがなかったとは言えない。ただ1日だけでは判断がつかない。

あい ホールディングス(3076)──3社のなかで最も静かに終えた

項目
前日終値 2914円
始値 2904円(前日比▲0.34%)
高値/安値 2943円/2873円
終値 2933円(前日比+0.65%)
日中値幅 2.44%
出来高 18万2100株(前日比▲61.5%)

3社のなかで、最も動きが小さかった。18日の2936円から3営業日で0.10%安と、ほぼ変わらずの水準に戻っている。

日付 終値 前日比 出来高
8月18日 2936円 12万7700株
8月19日 2881円 ▲1.87% 20万4700株
8月20日 2914円 +1.15% 47万2700株
8月21日 2933円 +0.65% 18万2100株

決算を発表した19日に1.87%下げ、20日に1.15%戻し、21日にさらに0.65%上げた。決算発表の前後で、株価がほとんど動いていない。

これは、この銘柄の決算の性質を考えれば納得のいく動きだ。前号で書いたとおり、純利益の43.7%減は本業の悪化ではなく、前期にあった特別利益192億1200万円が今期は800万円まで消えたためだった。営業利益は88億8900万円から107億6200万円へ21.1%増えている。

見出しの数字は悪いが、中身を読めば悪くない。そして株価は、中身のほうに従った。19日にいったん売られたが、20日・21日で戻している。

出来高の減り方

20日に47万株まで膨らんだ出来高が、21日は18万株まで戻った。20日は「見出しを見て売った人」と「中身を確かめて買った人」がぶつかった日で、21日はその決着がついた日と読める。評価が定まれば、売買は落ち着く。

スイング目線

決算発表を挟んで株価がほぼ元の水準に戻ったということは、この決算は材料として消化されたということだ。ここから動くとすれば、決算以外の材料になる。

来期計画では純利益が24.6%減る一方、配当は125円から140円へ増やす。DOE50%という方針にもとづくもので、減益の期でも配当を維持・増額する設計だ。配当を目的に持つなら方針は明示されている。値幅を取りにいく判断の材料としては、決算はもう出尽くしている。

【本日発表予定】8月24日は決算発表ゼロ

本日24日、決算発表を予定している会社はない。

8月14日に362社が発表したのを最後に、決算発表は完全に途切れている。並べるとこうなる。

日付 発表社数
8月14日(金) 362社
8月17日(月) 6社
8月18日(火) 3社
8月19日(水) 2社
8月20日(木) 1社
8月21日(金) 2社
8月24日(月) 0社

事業会社の本決算は、19日のあい ホールディングスで一区切りついた。そこから先は、決算という材料が相場から消えている。

決算発表がゼロということは、今日の株価は決算以外の材料だけで動くということだ。26日の米エヌビディアの決算発表、ジャクソンホール会議、為替の動きが、そのまま値動きの理由になる。

この時期は、決算をまたぐかどうかで悩む場面がない。持ち株の決算発表日を気にせずに済む期間ということでもある。逆に言えば、決算を守りの道具として使う場面も当面はない。

今後の決算発表予定──またぎ注意

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。

上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。

逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。

配当を目的にしている場合は、その限りではない。

今後の予定は次のとおりだ。

日付 発表社数
8月25日(火) 1社
8月27日(木) 1社
8月28日(金) 1社
8月31日(月) 5社

いずれもREITとインフラファンドが中心で、事業会社の本決算はほとんど残っていない。この連載ではREITとインフラファンドに注目度の級を付けていない。分配金と物件の稼働率、賃料の水準で評価するもので、四半期ごとの決算区分もないため、「決算の数字が市場の見ていたものと違ったときに株価がどう動くか」という切り口と噛み合わないからだ。

次にまとまって出てくるのは、11月の3月期2Qになる。それまでの約2か月半は、決算以外の材料で株価が動く時期だ。

この2か月半をどう使うかについて、一つ書いておきたい。決算発表がない時期は、持ち株の決算を読み直す時期に充てられる。8月に発表された数字は出そろっている。自分が持っている銘柄の短信を、値動きから離れた状態で読み返せる期間は、そう多くない。

今週の3社を振り返れば、同じ「計画超え」でも株価の反応は分かれた。あい ホールディングスは決算発表前の水準に戻り、パン・パシフィックHDは1割下げたまま戻らず、北川精機は戻りかけて売り直された。この差を分けたのは着地の数字ではなく、来期の計画だった。

そして私自身、その来期計画の数字を1つ取り違えていた。決算を読むというのは、そういう作業だ。見出しの数字ではなく、どの項目の数字かを確かめる。今回の訂正は、その手順を飛ばすとどうなるかという実例になった。

損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

プライム平均株価は、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した、当サイトの独自指標だ。時価総額でも株価水準でも重みをつけず、1銘柄を1票として数える。8月21日の対象は1557銘柄だった。

日経平均は株価平均型なので、株価の高い値がさ株の動きが指数に強く出る。TOPIXは時価総額加重なので、大型株や金融・内需の動きが効く。これに対してプライム平均株価は全銘柄を等しく1票として扱うため、数のうえで上げた銘柄が多かったのかを見るのに向いている。

21日は日経平均が▲0.30%、プライム平均株価は+0.12%だった。指数がマイナス、全銘柄平均がプラスという逆行が起きている。値上がり883銘柄に対し値下がり622銘柄で、数のうえでは買われた銘柄のほうが多い。中央値は+0.19%で、平均から大きく離れていない。

この日の下げは、ファーストリテイリングをはじめとする一部の値がさ株が作ったものだった。日経平均だけを見て「相場が下げた日」と受け取ると、実態を取り違える。

これは日経平均より優れた指標という意味ではない。売買代金の大きい値がさ株の動きは、それ自体が相場の重要な情報だ。プライム平均株価は、値がさ株の影響を受けない見方をするとどう見えるか、という補助線として置いている。

なお株価は分割調整後の値を使い、前営業日と当日の双方に終値がある銘柄のみを対象にしている。この指標は当社が独自に計算したものであり、取引所等が公表する指数ではない。

※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信にもとづく(あい ホールディングス:2026年6月期本決算、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス:2026年6月期本決算、北川精機:2026年6月期本決算)。株価・出来高・日中値幅はJPX公式のJ-Quants APIによる2026年8月21日終値時点の値で、株価は分割調整後の値を使っている。日経平均の終値・前日比は日経平均プロフィルの公表値による。TOPIXはJ-Quants APIによる。21日の市況、業種別の騰落、日経平均への寄与度、構成銘柄の騰落数、売買高・売買代金に関する記述は報道による。発表予定はJPX「決算発表予定会社一覧」(2026年8月21日時点)による。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

この記事を書いた人

コマンドY

コマンドYスイングトレーダー

大学卒業後、メーカーを経て広告代理店にてPR・広報のコンサルとしてと企業支援に従事。ところが新型コロナと50歳の節目が重なり、「このまま真面目に働いていていいのか?」と自問自答。一念発起し脱サラして、FIREを目指してスイングトレーダーに転身。現実はまだ“たき火レベル”だが、日々発表される決算書とチャートの動向と格闘している。最近ではAIを駆使し、銘柄研究を行っている。

※このサイトは「事業再構築補助金」を活用しています