1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。
派遣社員のほうが割高に?
![](https://goldbeans.jp/wp/wp-content/uploads/2024/06/jinzaihaken.jpg)
なぜ、このようなことが起こっているのか。人材派遣業界に何が起きているのかについて見ていきましょう。
ご存知のように、我が国はいわゆる少子化によって、人手不足が社会全体として大きな問題になっています。しかも、高齢者が増えて2024年問題といわれる医療、建設業界、運送などは、深刻な人手不足で悩んでいます。
このほかにも飲食、小売、イベント関連なども、コロナ禍で仕事ができなかったのが、急激に需要が増えたために、どの企業も人手不足が深刻になっています。
これらの業界は構造的に人手不足にあるわけですが、医療関係や運輸、建設関係も人手不足と、もはや日本社会全体が人手不足に陥った状態です。
そこで期待されているのが、人材派遣業なのですが、派遣会社そのものも自社を維持し、顧客にサービスを提供していくためには自社の正社員が必要になります。その一方で人材がほしい企業、派遣に登録する人も増えていて、人材派遣事会社自体がそれを捌ききれないという矛盾が出てきてしまっているのです。
給与所得者、いわゆるサラリーをもらっている人の3人~4人に1人は人材派遣会社に登録しているというような話まで耳にするほど、派遣登録者が増えていいます。しかし、人材を派遣する会社自身が人手不足になるという、変な現象が起きてきていわけです。
つまり、派遣業者にとっての「商品」は「人」になるわけですが、この「商品=人」を派遣できない状態では、当然ながら収益は悪化します。
さらに派遣社員の需要が高まれば、その人たちの賃金(価格)も上昇していきます。人手不足を補うために、新たに派遣会社から人を求めたいが、その派遣社員の給料が社員の給料よりも高くなるという矛盾もで始めており、これも人材派遣業界の大きな問題になっています。
とはいえ、派遣社員の賃金を一方的に上げられないというのが、多くの経営者の考え方で、人材派遣会社にとっては、ここも厳しい状況になっています。