50代で相続準備をしている人は一体どのくらいいるだろうか。ほとんどの人は「まだ早い」と考えがちで、いわゆる“終活”などまったく考えていないだろう。むしろ、この年代は収入や資産が増える時期で、ネットなどをフル活用し、投資などに積極的でデジタル資産の比率が高まる年代でもある。しかも、ネット銀行やネット証券、仮想通貨などネット利用に対して違和感なく利用する世代だろう。
今回の調査で明らかになった課題が、相続不能率の高さだ。銀行預金、証券、仮想通貨のいずれのデジタル資産も相続不能率が53~57%に達しているという点で、デジタル金融資産の半分以上が「見つからない」「引き継げない」まま、実質的に放棄されていることになる。今回はインターネット取引に限定した資産を対象としているが、今後ますますデジタル化が進むことを考えると、問題はさらに深刻になる可能性が高い。
加えて、家族のいない一人世帯では、より大きな問題になりそうだ。
動き始めているデジタル遺言書

デジタル資産は、放置すれば簡単に消えてしまう一方、適切な準備があれば確実に次世代へ引き継ぐことができる。どのサービスを利用しているのか、どこに情報があるのかを家族と共有、あるいは明確化するだけで、相続リスクは大きく下がる。
そんな中、注目されているのがデジタル遺言書だ。
2025年7月には、法務省からデジタル技術を活用する新たな遺言方式の創設を検討する内容を含む中間試案が出されている。また、10月1日からは指定公証人役場での公正証書の作成手続のデジタル化が順次進められている。
具体的には、インターネットによる嘱託、ウェブ会議(リモート)による公正証書の作成、公正証書が原則として電子データで作成・保存されるなどが可能になった。
また、民間でも事前に預貯金、株式、不動産といった資産や、これまで資産としてカバーできなかった暗号資産、ID、パスワードなどを登録し、本人にもしものことがあった際には、それらの資産データが家族や指定した人に送られるデジタル遺言書のサービスも始まっている。
デジタル化が進む中では、相続対策のアップデートが必要であり、「まだ早い」とは考えず、こうしたデジタルを活用したサービスの利用が必要になりそうだ。







