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東京の真ん中で温泉を楽しみながら昭和レトロな生活(東京都大田区)

次々と町から姿を消す「銭湯」――そんな銭湯を応援するために「風呂なし賃貸物件」だけを紹介しているのが、その名も「東京銭湯ふ動産」というサイトだ。そのオーナー・鹿島奈津子さんが銭湯の魅力、風呂なし物件に集まる人々のライフスタイルをレポート。

鹿島奈津子2023/09/11

近くには4軒の銭湯――程よい人情に、体も心も癒される築60年の木造アパート(東京都大田区)

まず第一弾は、東京都大田区・京急本線の「梅屋敷駅」にある風呂なし物件の「たかみ荘」と周辺の銭湯をご紹介します。

梅屋敷駅前には昔ながらの商店街があり、その場で持ち帰りのできる焼き鳥屋、八百屋、お肉屋、魚屋、製麺所、喫茶店などなど充実しています。実はこの商店街にはスーパーがなく、逆にそこが魅力でもあります。そのせいなのかどの店も賑わっていて、とても懐かしい町の風情が今も残っています。

そんな梅屋敷駅から徒歩6分ほどの場所にある風呂なしアパートが、今回ご紹介する物件です。
1963年に建てられたこのアパート、建物そのものにも趣があり、中も2階に上がる階段や廊下には使い込まれた木のいい風合いが醸されています。そして、見逃せないのが窓はアルミサッシではなく、今も全て木のサッシのままというところです。

玄関・トイレは共同で、昔ながらの下宿みたいでタイムスリップしたような感じです。しかし、オーナーさんがすぐそばに住んでいるので、共有部分はちょくちょく顔を出してお掃除してくれているのでとても綺麗なんです。

風呂なし物件というと、どうしても汚いとか、古く傷んでいるとか思われがちですが、オーナーさんが大事にしている物件も多くあります。この梅屋敷の物件(たかみ荘)も、昔の雰囲気をきちんと残しつつ、大事に管理され、年を重ねてきたことが分かります。
要は、物件は古くても清潔感があるだけで、断然そのイメージが変わるということです。

きれいに磨かれた階段と廊下 (Photo 東京銭湯ふ動産)

東京銭湯ふ動産でも人気のこの物件。
居住者の半分ほどが東京銭湯ふ動産からご紹介した20代~30代の方たちです。

お部屋はすべて畳の4.5畳、それに小さな台所がついているというシンプルなもの。
そんな小さな空間とはいえ、居住者のみなさんはさまざまに工夫して暮らしを楽しんでいます。
居住者のお一人は「最低限ベッドと、デスク、あとはパソコン、スマホがあれば十分」なのだそうです。また、別の方は「自分の本棚は図書館で、お風呂は銭湯、ダイニングは梅屋敷商店街の町中華屋さん」と家にあるはずの機能を町に置き換えて暮らしていました。
さらに、強者になると「うちの冷蔵庫はコンビニです」といいます。そんな風に自室には生活に最低限必要なものだけをそろえて、個性豊かに自由な暮らしを楽しんでいました。

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部屋にある小さな台所 (Photo 東京銭湯ふ動産)
部屋の使い方は自分次第 (Photo 東京銭湯ふ動産)

オーナーさんや隣人とのおつき合いも程よく気持ちよく

また、単に部屋を生活のための空間としてだけでなく、オーナーさんとの関係も深めた方がいらっしゃいました。
その方は家賃も手渡しにして、オーナーさんに家賃を持って行った際にミカンをもらったり、お菓子をもらったり、逆にお土産を持っていったりとオーナーさんとのおつき合いを大切にされています。ほかにも、結婚して転居する際にオーナーさんといっしょに写真を撮ったという方がいて、その記念写真を見せていただいたこともあります。

シェアハウスほど濃密さはなく、だからといってまったく隣の人の顔を知らないというわけでもない――。程よい距離感なも住むうえでは快適な部分なのだと思います。

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この記事を書いた人

鹿島奈津子

鹿島奈津子東京銭湯ふ動産/株式会社フィールドガレージ 不動産担当

1985年8月生まれ。大阪府出身。
滋賀県成安造形大学住環境デザイン科を卒業後、京都で京町家の再生活用などに携わる。
結婚出産を機に上京し今は茅ヶ崎で男の子二人、黒猫一匹と暮らすシングルマザー。
2014年フィールドガレージ入社、2015年「東京銭湯-TOKYOSENTO-」で銭湯ライターとして活動。2018年7月「東京銭湯ふ動産」を立ち上げる。

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