【注目トピック】
経営者死亡・ゼロゼロ融資後・人手不足・物価高倒産が焦点
■経営者の死亡
経営者の病気、死亡を主因とする倒産件数(2025年1~10月)は286件で、過去最多で前年同期の272件を上回った。このペースで推移すれば、前年(通年)の316件を上回って過去最多を更新する可能性が高いという。
これを負債額でみると、1億円未満の小規模倒産が大半を占めており、特に5000万円未満が170件(59.4%)と全体の約6割を占める。2006年時点での経営者の死亡による負債額は5000万円未満の比率は44.3%、1社あたりでは1億1300万円だったが、今回の調査結果からは経営者の病気・死亡を要因として倒産に至る企業の小規模化が進んでいることがわかる。
■ゼロゼロ融資
10月のゼロゼロ(コロナ)融資後倒産は69件で今年最多なものの、前年同月を10.4%下回り、6カ月連続減。業種別では小売18件、製造15件、卸売13件。1~10月累計は541件で前年同期比14.0%減とピークを越えたようだ。
■人手不足倒産
その一方で増加しているのが、人手不足倒産の42件で、前年より44.8%増の5カ月連続増加。1~10月累計は359件と前年の通年(342件)をすでに上回り過去最多を更新している。業種別では、建設業・サービス業が各11件、製造業9件、小売業4件であった。
後継者難倒産は41件で前年同月比34.9%減。1~10月累計は425件で前年同期比6.6%減となった。建設9件、小売8件、サービス7件、製造・卸売が各6件。
■物価高倒産
物価高倒産は93件と前年同月比2.2%増で、3カ月連続で前年を上回っている。業種別では小売25件、建設19件、製造17件、卸売・運輸通信が各12件。1~10月累計は805件で前年同期比1.3%増となった。

業種別の中でも目立つのが医療機関の倒産だ。10月に9件(診療所5件、歯科医院4件)発生し、1~10月累計は56件で前年同期(55件)を上回っている。
内訳は病院10件、診療所23件、歯科医院23件で、歯科医院は前年の過去最多(27件)を上回るペースで推移している。
■AI浸透で経営コンサル倒産
このほかAIが広がるなかで増えているのが経営コンサルティング業者の倒産だ。倒産件数が146件となり、集計を開始した2000年以降で最多だった2024年(159件)を上回るペースで推移し、年間で過去最多の更新が確実とみられるという。特に、資本金「1000万円未満」の割合が8割超を占めるなど小規模な事業者で淘汰が続きそうだという。
コロナ禍前後経営コンサル業界では、DXの推進やリモートワーク体制の構築といった中小企業へのITツール導入で特需が発生した。しかし、小規模なコンサルは、クライアント側の予算見直しやプロジェクト中断といった影響を受けやすく、目立った成果が得られず不満を持ったクライアントから契約解除により、経営に行き詰まるといったケースもみられるという。
さらに経営コンサルが従来得意だった作業を生成AIが代替できるようになるなど、生成AIによるコンサル業務への浸食もみられ、高度な専門性を持つ経営コンサル企業とそうでない企業との二極化が、今後より進行するとみられるという。

帝国データバンクでは、中川企画建設の会社更生法(負債総額222億2200万円)の背景に、近年のメガソーラー工事の受注増に伴う売上代金の回収長期化があると指摘している。
また、経営立て直しを進める日産自動車が米関税の影響で2026年3月期の営業赤字2750億円を見込み、11月6日には最終赤字と本社ビルの売却を発表したことを受け、今後はサプライチェーン企業1万9141社への影響が注目されるとしている。







